湖、森、そして富士山。この環境だからこそできることにチャレンジしていきたい
「合同会社クリエイティブミュージカル」代表、「ミュージカルラーニング」プロデューサー・エデュケーター 石垣 清香さん
- 移住エリア
- 東京都→山梨県富士河口湖町
- 移住年
- 2018年
フリーランスでwebサービスの制作などを手掛ける一方、ミュージカル教育実践者として活動している石垣さん。結婚を機に東京との二地域居住を始め、今は山梨で子育てと仕事を両立しています。「定住の決め手は子育て」と語る石垣さんに、山梨での暮らしぶりをうかがいました。
目次
二地域居住から始めた山梨暮らし出産を経て新たな挑戦も
富士河口湖町に移住して5年が経ちました。結婚を機に東京との二地域居住から始めた山梨暮らしですが、今は子供も2人生まれ、自然豊かな環境で子育てと仕事、そしてライフワークであるミュージカル教育を続けています。
ミュージカル教育はミュージカルを通じて子供の心の成長を促し、創造性を育む試みです。移住する5年ほど前から東京や出身地の三重県で取り組んできた、子供たちとミュージカルを作って上演する活動が土台となっています。
出産や育児に加え、コロナ禍で思うように活動できていなかったのですが、昨年度、山梨県の「やまなし地域課題解決型起業支援金」に採択いただいたことをきっかけに、合同会社クリエイティブミュージカルを設立。富士河口湖町を拠点に、子供たちのミュージカルのプロジェクトや舞台芸術の制作に挑戦しようと活動を始めました。
2023年8月には、お隣の富士吉田市と東京墨田区で、山梨や東京などから集まった子供たちと一緒に、葛飾北斎を学び演じるミュージカル教育プログラムを実施することができました。
コロナ禍の子育ても、ここだから乗り越えられた
移住のきっかけは幼なじみでもある夫が仕事で山梨に住んでいたからですが、定住の決め手は子育てです。活動を通じて子供たちと触れ合う中で「自分が子育てをするならどこがいいだろう」と考えていたんです。山梨に度々来るようになって、直感的に「ここに住んで出産と子育てをするのはすごく良さそうだ」と感じたのが、大きな後押しになりました。
今はその良さを実感しています。移住して本当に良かった。何より自然が豊かで、子供が遊べる公園がたくさんあるのがいいですね。富士山の景観も見事で、湖も森も富士山もある環境で子育てができたから、コロナ禍でも気持ちが穏やかでいられたし、救われたと思っています。
移住した当初、知り合いは夫だけでした。子育てを始めたらコロナ禍になってしまったので、地域の方との関係性を作るのは難しかったです。
ただ、富士河口湖町は子育て支援が手厚くて助かりました。町の支援サービスを通じて知り合った方から地域のつながりが増えたのもありがたかったです。少しずつご縁が広がり、子育てはもちろん、ライフワークの活動も楽しめるようになりました。
自分の過去と今がつながっていく感じが面白い
人との関わり方は東京より密な印象です。人が少ない分、友達や地域で助け合う精神が強いというのかな。だから私もこの土地で暮らす一人の人間として信頼される人でありたい。関係性を築いた上で自分が何を提供できるかというのが、地域で活動するには大切だと思います。
一方、コロナ禍で遠くにいる人との距離感はぐっと縮まった気がします。テレワークでどこにいてもつながれるようになったことで東京の人脈から仕事をいただいたり、友達が遊びに来てくれたり、そういう関係性が保てるのはすごくいいですよね。
今回のプログラムにも東京や三重から子供たちが参加してくれるなど、私がここに移住したことで、ある種関係人口を増やすことになるというか、つながりが増えていく感じが面白いと思っています。自分の人生だけでなく、昔出会った人や今出会った人の人生もこの土地とつながっていく――移住にはそういう面白さがありますね。
ここに住んでいるからこそのテーマに取り組んでいきたい
東京から離れて人が作るエンターテインメントから遠ざかった代わりに、大自然が織り成すエンターテインメントを享受する機会が増えました。今後は屋内ではなく自然の中で歌い踊るなど、自然と共生しながらできることを考えたいですね。ここに住んでいるからこその大きなテーマをもらった気がしているので、それにゆっくり取り組んでいきたいです。
やってみたいのは「大人はワーケーション、子供はミュージカル」という取り組みです。北斎ミュージカルを上演した富士吉田市が日常的に都心からワーケーションに来る「日常ワーケーション」を提唱しているんですが、子供がいるとなかなか難しい面もありますよね。だったら子供たちがここに来る目的として、ミュージカルに参加する選択肢があるのも面白いと思うんです。
プライベートでは子供たちとこの環境を楽しみ切りたいと思っています。もう少し大きくなったら、湖のアクティビティや登山なども一緒にやりたい。これからすごく楽しみです。
(※このインタビューはふるさと回帰支援センター発行の情報誌「100万人のふるさと」2023初秋号掲載の内容をWEB用に一部再構成したものです)
「合同会社クリエイティブミュージカル」代表、「ミュージカルラーニング」プロデューサー・エデュケーター 石垣 清香さん / いしがき さやか
名古屋大学在学時、アカペラサークルを創設。卒業後は広告制作やデジタルコンテンツ制作、ビジネスコンサルティングに従事する。2013年、子どもたちの個性を活かすための「リトル・ミュージカル」を旗揚げ。2015年、国際児童青少年舞台芸術協会による国際創作メンバーに選出。
2022年、山梨県でミュージカルラーニングを発信する合同会社「クリエイティブミュージカル」を設立。家族構成は夫と子供2人。
■関連リンク
「ミュージカルラーニング」公式サイト