仕事と子育ての両立をめざして。2児のパパは、まちの獣医さんとしても大活躍!
「ゆずの木どうぶつクリニック」院長 越智 俊二郎さん
- 移住エリア
- 大阪府→愛知県豊川市
- 移住年
- 2018年
移住することで「独立開業」という夢を実現させた越智俊二郎さん。豊かな自然に囲まれて、子どもたちものびのびと育てることができています。移住6年目の今は、一国一城のあるじとなるべく土地を購入。家族が楽しく暮らせる家の設計を楽しんでいます。大阪市での動物病院分院長という立場に安住せず、移住を選択。そして新しい土地で独立開業をして分かった「生きる極意」とは?
目次
仕事と子育ての両立+キャリアップ=移住
お話をうかがう予定だった時間に緊急手術が入り、インタビューは手術後に変更となりました。越智さんは疲れも見せず、にこやかな表情で「こうしてインタビューをお受けして、豊川のいいところを発信するのも恩返しになると思うんです」と話してくださいました。その表情からは、地域の人たちに頼りにされ、必要とされている移住先での充実した生活ぶりがうかがえました。
「私も田舎で育ったので、自然が豊かな土地で子育てできるのはうれしい」と語る越智さんは愛媛県東温市の出身。獣医になるべく神奈川県の大学に進学。卒業後は愛知県安城市の動物病院に勤務しました。そして大阪市の動物病院で分院長を任されます。看護師でもある奥様と結婚して子宝にも恵まれます。
改めて生活設計を考えた時、共働きなので、子育てするなら祖父母の助けを借りたい、と妻の実家のある愛知県岡崎市方面への転居を考えていました。
そこに運良く、豊川市に新規オープンするホームセンターのテナントとして動物病院を誘致する話が舞い込みます。こうして2018年6月に大阪市から愛知県豊川市に移住。2ヶ月後にはふたりで「ゆずの木どうぶつクリニック」の開業にこぎつけました。
開業に際しては、豊川市役所からのサポートもあったといいます。豊川市内で新たに事業を始める人には「チャレンジとよかわ活性化事業費補助金」という創業支援制度があり、それを活用したとのことでした。越智さんにとっては「仕事と子育ての両立」という生活上の課題と、「独立開業」という仕事のキャリアアップを併せて実現してしまう方法が移住でした。
考え方の軸にあったのは「助けを求めて構わない」という事。移住先を決める条件は、妻の実家の近く。つまり祖父母のサポートが得られるということでした。こうして愛媛県生まれの越智さんは、妻のふるさとである愛知県に移住することになりました。
海、山、川に広い公園 抜群の子育て環境
移住してから、第2子となる長男も生まれ4人家族に。クリニックでも地域の方を雇用するようになり、新たな暮らしは順調に拡大していきました。
移住前は、大都市大阪でペットを飼っている方と、広々とした地方都市でペットを飼っている方とでは考え方や感じ方に違いがあるのではないか、自分が獣医師として持っている技量や知識では対応できない事も出てくるのではないか、という不安もあったといいます。しかし、移住してみるとそんな不安は杞憂に過ぎず、ペットに対する愛情や接し方は全く同じだということに気付きました。
子育て環境としても豊川は満足のいく場所でした。
自宅のすぐ近くに海があり山もある。同じ県内で、夏に海水浴もできれば、冬にはスキーもできるという自然の豊かさ。川沿いには桜が植えられ、春ともなればそれは美しい桜並木となって住む人の心を癒します。山一つが全部公園といったスケールで、休日に家族でお弁当を持ってピクニックに出かけることも。無料の動物園もあり、よちよち歩いていた子どもたちが駆け回るようになる姿を見るのも幸せを実感する瞬間です。
車社会であることが幸いして、家族と荷物を乗せてどこにでも気軽に足を伸ばせる良さがあるといいます。
自分からアクションを起こせば必ず助けてくれる人はいる
クリニックに子どもたちが現れても、職員たちは温かく迎えてくれるそうです。職住接近の豊川ならではのことかもしれません。祖父母や職員などたくさんの人々に助けてもらいながらする子育て。父親は長時間労働に長時間通勤で、育児が母親のワンオぺになってしまう、そんな暮らしをせずに済んでいるのも移住したおかげかもしれません。
家を新築するために購入した土地もクリニックから5~6分の場所。家族がゆったりといつまでも話していられる広いリビングを作りたい。一方で一人になれる空間も作りたいと夢は広がります。
こうした暮らしを手に入れて越智さんは考えます。これは自分一人で手に入れたものではない。周りの助けがあって実現できたことだと。越智さんが気付いた移住成功の極意は「自分からアクションを起こせば、必ず助けてくれる人はいる」ということ。
移住を考えている人に伝えたいこと
そしてもうひとつ、「人はどこでも楽しめる」と考えること。例えて言えば、ホテルがなくてもキャンプならできる。キャンプにはホテルにはない楽しさがある。年齢や境遇など、自分に足りないものがあったとしても、「持っていないものを探すのではなく、そこにあるもので楽しむ姿勢が重要」だと。
今は、自分を受け入れ助けてくれた豊川に恩返しがしたいと考えています。ペットたちに適切な医療が提供できる、そんな獣医としての恩返しはもちろん、豊川の良さを広く伝えていくことも恩返しになると考えています。
インタビューを楽しんでくださる姿勢には、移住で受け取ったものを少しでも返していきたいという報恩の思いが満ちていました。
「ゆずの木どうぶつクリニック」院長 越智 俊二郎さん / おち しゅんじろう
1984年生まれ、愛媛県東温市出身。神奈川県の大学卒業後、愛知県安城市のあいち犬猫医療センターに勤務。大阪市の大阪動物医療センターに移り、妻とともに2018年愛知県豊川市にて「ゆずの木どうぶつクリニック」を開業。
■関連リンク
「ゆずの木どうぶつクリニック」Webサイト