育児のストレスや悩みを吹き飛ばした愛知・春日井市の手厚い子育て支援スキーム
保育士 大野 香澄さん
- 移住エリア
- 愛知県内→愛知県春日井市
- 移住年
- 2021年
「子はかすがい、子育ては春日井」を掲げる愛知県春日井市は、名古屋市に隣接するベッドタウンで、約30万人の市民を抱える中都市。子育て施策の充実を図り、子育て世代にやさしい町づくりを目指していますが、それを実感しているのが大野香澄さん(27)。2023年春に長女を出産、孤軍奮闘で育児に専念していたところ、子育て支援を行う公共施設やNPO法人を知り、子育てのストレスや悩みがみるみる緩和、ママ友もできて、ママライフが楽しくなったそうです。これは、新米ママの子育て奮戦記です。
目次
子育てのストレス発散はママ同士のおしゃべり
初めての赤ちゃん・文楓(ふみか)ちゃんが生まれたのは、2023年4月3日。春日井市内の病院で出産、愛知県下の小都市にある実家で2カ月ほど過ごした後、夫の待つ春日井市の居宅に戻りました。保育士として保育園に勤めているので小さな子どもとの付き合い方は心得ているはずなのですが、実際にわが子を育てるとなると「ちょっとたいへん。予想もしなかったことが次々に起こるんです」。
夫は朝早く出勤して夜遅く帰宅する毎日で、夫のいない長い日中は、ずっと赤ちゃんと二人っきり。「まさに、ひきこもりの生活」だったそうです。そんな時、たまたま耳にしたのが、市の子育て支援の拠点施設「東部子育てセンター」でした。
「子育ての相談に乗ってくれるというので見学に出かけたんです。文楓が生まれてから初めてのお出かけでした」
ゼロ歳児をもつお母さんたちが集まっておしゃべりする「わかばママ会」に参加。話題は子育ての悩みから芸能界のよしなしごとまでさまざまでしたが、「大人と話すことが、こんなにストレス発散になるのか」と痛感したそうです。
子育て支援情報満載のサイト「春日井ハッピーマムズ」
そこで見つけたのが、子育て支援のNPO法人「あいちかすがいっこ」の紹介ポスター。「地域を巻きこみ みんなで子育て」をキャッチフレーズに、地域と連携した子育てを目指している団体です。
さっそく掲示されていたイベント「ママステーション」に出席しました。小さな子どもをもつお母さん同士が育児の悩みや困りごとを語り合う会でした。「出張ママステーション」は、市内の大規模ショッピングセンターなどで開くイベントで、スタッフとともに親子のスキンシップを図っています。だれでも参加できるので、買い物ついでに訪れる親子連れも多く、大野さんも文楓ちゃんとたびたび出かけています。
「欲しい情報をすぐにチェックできるので重宝しています」というのが子育て情報満載のウェブサイト「春日井ハッピーマムズ」です。「いつ、どこで、どんなイベントや講習会が開かれるのか」という情報を、スマートフォンで簡単に見つけられるので、「とても便利で、いつも活用している」そうです。
「かすがいげんきっ子センター」は総合子育てサポート施設
春日井市には、50以上の子育て支援団体やサークルがあり、市が所管する子育て支援施設だけでも8カ所を数え、手厚い支援スキームが用意されています。
中でも、「かすがいげんきっ子センター(子育て子育ち総合支援館)」は、ゼロ歳児から18歳までを対象にする総合的な子育てサポート施設です。ゼロ歳児とその保護者が参加できる「なないろ広場」は、保護者同士の交流の場として、たびたび利用しているそうです。イベント自体は1時間ほどですが、施設には終日滞在できます。1歳児、2~3歳児と、年齢ごとに集まる「ふれあい広場」もあり、育児の相談にものってくれるので、大野さんは「この後も、長く、お世話になりそう」と言います。
お母さんがリフレッシュできる「さんさんルーム」
気に入っているのが、妊産婦ケアの「さんさんルーム」。妊婦やゼロ歳児のお母さんが疲れた時や育児がつらいときに休養したり相談ができる施設で、栄養士と保育士が常駐していて、頼めば心理士も呼んでもらうことができます。
赤ちゃんは保育士のいる託児室に預け、お母さんは1人になって、リラックスルームで本を読んだり、個室で睡眠をとったり、ゆっくり入浴もできます。
子どもと離れて1日過ごすので、すっかりリフレッシュできて、夕方、文楓ちゃんを迎えに行ったときに、「あらためて自分の娘がかわいいと思える瞬間があり、また育児にがんばろうと元気が出る」のだそうです。
たまたま暮らすことになったのが春日井市でよかった
「毎日、どこかで、子育て関連のイベントが開かれているので、子育てのストレスや悩みを感じている暇はなくなり、どこかへ吹き飛んでしまいました。ママ友のつながりもできました。春日井市の子育て支援策は、とても充実しているのではないでしょうか」
大野さんは、4月から職場に復帰しますが、まもなく1歳になる文楓ちゃんは近くの保育園に入園が決まり、安心して保育の仕事に打ち込めるそうです。
「夫婦それぞれの職場までの通勤を考慮して、たまたま春日井市に暮らすことになったけれど、とてもよかった。居心地がいいんです」
保育士 大野 香澄さん / おおの かすみ
1996年生まれ。名古屋市郊外の6万人余の小都市で育ち、愛知県内の大学の保育科を卒業して保育士の資格を取得。勤め先の保育園は名古屋市内で、岐阜県各務原市に勤める夫の職場との中間をとって、2021年に春日井市に新居を構える。2023年春、赤ちゃん(長女)が誕生。市の子育て支援施設やNPOの助けを借りながら、子育ての悩みやストレスを軽減、育児に奮闘している。