カナダから帰国して、森と湖に囲まれた長浜市で自然を満喫
文化施設「きのもと交遊館」責任者 小泉 優さん
- 移住エリア
- カナダ→滋賀県長浜市
- 移住年
- 2023年
長らく、カナダのホワイトホースやビクトリアの自然豊かな地域で暮らしていた小泉さん一家。「いつかは自分たちで家を建てたい」という夢を持っていましたが、カナダの不動産価格が高騰。日本への帰国を考えるようになりました。
移住先として選んだのは、縁もゆかりもない滋賀県長浜市木之本町でした。琵琶湖のほとりに位置する長浜市で、小泉さん一家は自分流のスタイルで自然豊かな暮らしを楽しんでいます。
目次
雄大な自然を誇るカナダから、長浜市に移住を決めた理由
仙台市出身の小泉さんは、アウトドア好きで、20代でワーキングホリデーを利用しカナダへ旅立ちます。その後、カナダでアウトドアガイドの仕事を15年ほど続けていました。
「不動産価格の高騰といった経済的な理由もあり、帰国を検討し始めましたが、日本で新しい生活が始まるということで、わくわくしたのを覚えています。カナダでは、どちらかと言えば原生の大自然が広がる小さな町で生活していました。そのため、日本に移住するなら自然が多い場所にしようと考えていました」
北海道から沖縄まで、自然豊かな地域は、日本全国にありますが、地図を見ていて気になったのが琵琶湖のある滋賀県だったそうです。
「当時、カナダでSUPや釣りにはまり、海や湖で遊んでいたこともあり、琵琶湖があって日本海も近い滋賀県北部が理想的な場所だと思いました。京都や名古屋など都会にも近く、交通の利便性もよい。そのうえで自然も豊かという、バランスがとてもいい場所なのではと、と思ったのが第一歩でした」
現地視察で、移住後のイメージを
海外からの移住なので、事前に家を探したり、何度も足を運んだりする余裕はありません。また、滋賀県は縁や土地勘もなかったため、地図と自治体の移住サイトからおおよその目星をつけ、移住候補地を絞りました。帰国の前の年に一時帰国し、初めて滋賀県をゆっくり回ったそうです。
「帰国前に市役所の方々ともお会いし、移住、生活について教えていただきました。自分たちだけで見て回るだけでなく、具体的な生活に関した情報を聞き、移住後の生活をイメージすることができました」
その後は、あまり進展がなく、移住のタイミングで空き家があるところにしようと決めたそうです。
2023年、家が見つかり家族で長浜市へ移住しました。
地域の人々とのつながりとプライベートの充実
小泉さんはカナダでアウトドア以外にも、観光全般の仕事にも長く従事していました。移住後、木之本の街の活性化、観光関係でお手伝いができればと思っていた矢先、縁あって、地域の交流施設「きのもと交遊館」の管理運営を任されることになりました。きのもと交遊館は、旧滋賀銀行を改装した文化遺産で、ホールや会議室などがあり、地域の研修やイベントの開催などに利用されています。
「きのもと交遊館は地域の方々に長く愛されているシンボル的な建物です。地域文化施設として、さまざまな教室、コンサート、写真展などのイベントを定期的に開催しています。ゆっくりとくつろいでいただけるよう、カフェ営業も始めました。また、木之本町内の空き家対策や長浜市の移住定住を目的に、空き家や移住関係のサポートも行っています」
地域コミュニティの活動にも、小泉さんは積極的に参加されています。木之本の文化財などを調べる「まちなみ研究会」に所属し、文化財の街歩きMAPを作成しています。また、『田上山砦の会』という木之本の裏山、田上山を整備(草刈り、倒木の処理)するグループにも参加し、地元の方々と楽しく交流しているそうです。
「地元の方は、人づきあいもぐいぐい来るのではなく、どちらかというと遠くから温かくかく見守ってくださる感覚があります。小学生の息子も地元の夏祭りや縁日などに参加しています。カナダでは子供の送迎が必要でしたが今は、友達同士、徒歩数分内で通学できるので、息子も自由な環境の中でのびのびと滋賀生活を楽しんでいるようです。妻も移住後、しばらくしてからパートで働きはじめました」
プライベートの過ごし方についてもうかがいました。
「休日は、近くの畑で野菜栽培を楽しんだり、ドライブに出かけることが楽しみのひとつです。滋賀県は文化財クラスのお寺や神社もたくさんあり、そういう場所を巡るだけでも十分楽しめます。琵琶湖ではSUPをしたり、サイクリングを楽しんだり。アウトドアフィールドもたくさんあるので、休みが足りないくらい忙しい毎日を過ごしています」
「家のすぐ目の前には、江戸時代の建物が軒を連ねる北国街道があります。風情ある街並みと隣り合わせの生活は、なかなか出来ない貴重な経験です」
夢は持ち家を購入し、DIYを楽しむこと
「しばらくは,きのもと交遊館で働き、地域にどっぷり浸かってみたいです。また、大きな目標として、持ち家を購入し思う存分DIYを楽しみたいですね。カナダではセルフビルドという自分で家を建てる人がたくさんいましたので。自然豊かな場所に住み、試行錯誤しながら、ネガティブなことも楽しむ。そんな時間を大切にできる生活ができればいいなと思います」
まっさらな状態でコミュニティに入り、自分流のスタイルで暮らす
「移住前に暮らしのイメージを膨らませることは楽しいですし、今後の生活を構築していくうえで大切なことだと思います。ただ、知らない土地に入り込むと、思い通りにいかないこともあると思います。はじめから移住後のイメージを固めるより、まっさらな状態でコミュニティに入り、生活していく上で自分スタイルに変えていったほうがストレスは少ないかもしれません。ここだけは譲れないという部分をしっかりと持ち、あとは自然の流れで何とかなるという気持ちを持っていたほうが、より早く地域に溶け込むことができるのかなと思います」
最後に、移住先の家探しについてうかがいました。
「空き家、特に古民家の場合は、インターネットや自治体の情報へ出てこない物件も実際にかなりあります。最初から、条件の良い物件にはなかなか出会えないこともあるので、仮住まい的な気持ちで1年住んでみるのもいいかもしれません。地域に入ると、思わぬところからリアルタイムでいいお話や情報が舞い込んでくると、1年住んでみて感じました」
地域を活性化させるために、地元の人とのつながりを大切にしながら、これからもさまざまなことに挑戦したいと話されました。
小泉さんの今後の活躍に目が離せません。
文化施設「きのもと交遊館」責任者 小泉 優さん / こいずみ ゆう
宮城県仙台市出身。幼少期から自然、アウトドアが好きで、20代でワーキングホリデーを利用しカナダへ。カナダでは、カナダ山岳ガイド協会に所属しながら、山や自然を案内するアウトドアガイドの仕事を15年ほど続ける。2023年に自然豊かな滋賀県長浜市木之本町木之本へ移住。現在は文化施設「きのもと交遊館」で町の活性化に取り組んでいる
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