夢中になれるものを見つけよう!知らなかった高知が『地元』になるまで
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ドーナツ店経営、クラフトコーラブランドのプロデュースなど 小野 義矩さん
- 移住エリア
- 神奈川県→高知県いの町
- 移住年
- 2017年
特別よさこいチーム『いの夏-INOKA-』。前から3列目、青いズボンの男性が、チームを立ち上げた小野さん
神奈川県からIターン移住し、伊野地区の地域おこし協力隊第一号として着任し、任期終了後はクラフトコーラブランドのプロデュース、ドーナツ店経営など、精力的に活動している小野さん。行ったことのなかった高知が『地元』になるまでの道のりとは?地域おこし協力隊や、地方で起業を目指す方へのアドバイスもうかがいました。
目次
行ったことのない場所だから選んだ高知
神奈川県川崎市出身で、ずっと川崎に住んでいました。都内の大学の建築学科を卒業後、ベンチャー系の建築会社に就職し、その後、スポーツバイクのプロショップに転職しました。国内での売り上げ1位を獲得するなど、充実した毎日でしたが、妻と休みの日も全く合わず、家族との時間がなかなか取れなくて…。
子どもと一緒に過ごす時間を増やしたいと思い、移住を決断しました。 移住先は、妻と日本地図を広げ、2人とも行ったことがない場所・暖かい場所など希望・条件に添ったに合ったエリアを探し、その中で一番晴天率が高かった高知を選びました。
そして、高知県の「移住相談窓口」で移住コンシェルジュに相談し、『高知暮らしフェア』や夏休みに家族で現地ツアーに参加するなどの情報収集をして、候補地をいの町と室戸市の2つに絞りました。どちらも魅力的な場所でしたが、妻の勤務地が高知市に決まった為、より近いいの町に最終的に決定しました。 自分自身は、建設業界から自転車業界という異業種でのキャリアを積んできたので、移住後も新しいことに挑戦したいと考えていましたね。
高知暮らしフェアへの参加をきっかけに、いの町の移住担当の方とつながりができたことで、地域おこし協力隊としていの町に赴任することになりました。
大切なのは『自責思考』と『打席に立つ回数を増やすこと』
地域おこし協力隊としてのミッションは、中心市街地の活性化でした。まずは商店街の各店舗を回り、プロフィールを配って自分を知ってもらうことから始めました。 そこで感じたのは「任期の3年間が終われば、川崎に帰るんでしょ?」という、地域の方々の気持ち。いの町で初めての地域おこし協力隊員だったということもあり、そう思われるのは、仕方のないことですよね。
そこで、名刺代わりにお店を開けば、定住する意思を伝えられるかもしれないと思い、古民家を改装した飲食店をオープンしました。事業計画書を作り、政策金融公庫から借り入れをし、それが初めての開業でしたね。それからは、地域おこし協力隊としての仕事をしつつ、休日は飲食店の経営をしていました。
地域おこし協力隊の仕事は、誰かが指示をしてくれるわけではなく、何をしたらよいのか自分で見つけていかなくてはなりません。
地方には、様々な課題を抱えたところが多いです。そういった環境で自分は何をできるのか、考えることが大切。
すべて自分の決断で今があります。『自責思考』を持って、取り組んできました。
地域おこし協力隊を卒業後は、個人事業主として活動し、いの町の特産品である生姜を使ったクラフトコーラブランド『高知クラフトコーラsawachina』を立ち上げ、仁淀川の入り口であるいの町の中心部でドーナツ専門店『YAIRO DONUTS』も開業しました。
現在、興味があることにどんどんチャレンジしていますが、建設会社で働いていた時に培ったマインドが大きいかもしれません。仕事をする上では、致命的になるリスクは回避しつつも、「1回目は三振、2回目はファールでも、3回目にホームランを打てたらいい」くらいの気持ちで打席に立つ回数を増やすことを意識しています。 そして、個人でできる最大までやってから、周りに声をかけることも意識しています。まずは自分でやらないと誰も協力してくれません。チャレンジしているからこそ、周囲から応援してもらえると思います。
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もっちりふわふわ食感と評判のドーナツ
「子供たちのため・地元のため」という想い
我が家には子どもは3人いるのですが、子どもたちにとってのふるさとはいの町です。
「子どもたちにいろいろな経験をさせてあげたい」「移住後に楽しい生活を送らせてもらっているいの町に恩返しをしたい」という想いから、よさこいチーム『いの町合併20周年記念特別よさこいチームいの夏-INOKA-』を立ち上げました。
個人でよさこいチームを作るのは資金の面などでも大変だからやめておいた方がいいと、周囲には大反対されました。だけどよさこいチームを作りたいという気持ちを止められず、振り付けや音楽、地方車(※)など、チームに関わるすべて、いの町ゆかりの人を集めていきました。 それまで面識のない方ばかりでしたが、「地元のために」という想いで、さまざまなご縁で協力していただきまして…。
ひとりでのよさこいチームの立ち上げは正直大変でしたが、いろいろな方にアドバイスはもらいつつ、結果的にはスタッフも入れて140名以上のチームになりました。
地方車(じかたしゃ)…祭りの際に使われる、装飾を施した大型の山車
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多くの方の協力を得て、今や140名以上のチームに
「自分で見つけて、自分で動いて、そして楽しむ」が重要
高知県に移住後、いの町から出たいと思ったことはありません。その気持ちは妻の方が強いくらいで、移住前はやったことのなかった釣りや家庭菜園などを全力で楽しんでいます。 子どもたちが保育園や小学校に入り、地域との関わりが増えるにつれ、自分自身の地元愛も増していますね。「夢中になれるものを見つけて、自分の生活を楽しむ」、それが一番大切だと感じています。
また、地方では、都心と比べるといろいろなものがないというのは当然のことです。そういった環境を受け入れ、ないなら自分で作る、という精神が大切で、それができる人が移住に向いていると思います。 あとは、高知県って、ビジネスを通して自己表現しやすく、好きなことをやりやすい場所なので、起業するのもおもしろいのではないでしょうか。 私も「いの町は元気のある町だね」と言ってもらえるよう、いの町産の食材を使った新たな飲食店の展開なども計画中です。
■関連リンク
高知家で暮らす。(高知県移住ポータルサイト)
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ドーナツ店経営、クラフトコーラブランドのプロデュースなど 小野 義矩さん / おの よしのり
神奈川県川崎市出身。長男の誕生をきっかけに、2017年に縁も所縁もない高知県いの町へ家族で移住し、伊野地区の地域おこし協力隊第一号として着任。任期満了後は高知クラフトコーラ『sawachina』の立ち上げ、同じく高知県の食材を使ったドーナッツ屋『YAIRO DONUTS』の開店、よさこいチーム『いの夏』の立ち上げと精力的に活動している。
■Instagram
YAIRO DONUTS(ヤイロドーナツ)@yairodonuts