「私は、移住がしてみたかったんだ」~地域おこし協力隊からゲストハウス開業へ~

合同会社『USHIMAROBI』代表社員、観光プロデューサー 中井 裕貴さん
- 移住エリア
- 大阪府→岡山県瀬戸内市
- 移住年
- 2021年
大阪の企業に就職し、コロナ禍でテレワークになった中井裕貴さん。時間が増えたことで、これまで心の奥底にあった「移住」への思いがふと湧き上がったと言います。旅行好きで、関西圏以外には興味がなかったという中井さんが、なぜ岡山県への移住を決めたのでしょうか?そのストーリーを追います。
目次
私は、移住がしてみたかったんだ
大阪の高校卒業後、まちづくりを学ぶために大学へ進学しました。卒業後は地元大阪で就職をしたのですが、コロナ禍でテレワークに。自分の時間が多くなり、ふと気づいたんです。「移住がしてみたかったんだ」と。
旅行好きなので、国内旅行業務取扱管理者の資格を取り、その資格を活かしたいと大阪ふるさと暮らし情報センターへ。相談員さんに自分の中で何を重要視しているかなど、気持ちの棚卸しをしてもらいました。その時、隣にいた岡山県相談員の方から、瀬戸内市で観光業に特化した地域おこし協力隊を募集している話を伺いました。「瀬戸内市に旅行業がほしい!」と言われ、「好きなことを仕事にできるのでは、いいな」と思いました。
“地方に観光に行く”から”観光の仕事をして住む”という考えになり、その場で担当者につないでもらい、観光名所や気候の話など丁寧な説明を受けました。移住先は、関西圏以外は興味がなかったのですが、背中を押してもらい協力隊に応募しました。
瀬戸内市は意外に近く、岡山市からすぐの距離。現地でいろいろな方から話を聞き、仕事のイメージが湧いたことが決め手となりました。2021年8月に移住し、市内で初めての役職である『観光プロデューサー』として働くことになりました。
未開拓の活動内容は苦労あり
協力隊は学生の頃から知っていて、知人の中にも協力隊になった人もいたので、多少の憧れもありました。
でも、実際は何も知らない土地で始める仕事。
私も何の知識もなく観光業を立ち上げるのには、相当な苦労がありました。問題が山積みの中、解決策も見つからず相談もできない。仕事を作り出すことに苦労しました。
会いたい人とつながることができず、「地域でつながることができない」という思いばかりでした。声をかけてくれる役所の方もいましたが、行政で旅行業に詳しい方もおらず、解決策は見つからずでした。
自ら関わり合いを持つ
移住1年目、2年目は「いろいろな人に会おう」と思い、牛窓町の古民家交流スペース「まちかど交流プラザ」へ。牛窓は人口2300人ほどですが、江戸時代の朝鮮通信使の寄港地として発展した歴史ある町。近年は古民家カフェなども人気です。
また、社会人サークルにも加入。その一つ、アウトドアサークルで知り合った同世代の知人と交流を深める中で「ゲストハウスしたいな」、「じゃあ、やるか」と。ボランティアの方にも協力いただき旧郵便局をリノベーションして、2025年に『USHIMAROBI』としてオープンしました。マルシェも開催し、地域の人たちと観光客の交流の場にもなっています。
仕事の課題も人間関係を開拓しながら、協力隊OBやOGに相談しながら解決していきました。こうした経験から、積極的に地域の方と自ら関わり合いを持ち、掘り起こしていくことが大事だと気が付きました。興味本位で話しかけてくれるのは最初だけなので(笑)

ゲストハウス『USHIMAROBI』

『USHIMAROBI』のリノベーションボランティアの方々と
地域に還元していきたい
私は、移住者の経験を聞かずに瀬戸内市に行きました。その代わり、現地の人やサークルで出会った人の声を聞けたのが良かったです。現在は地域の方々に恵まれて、生活できています。でも、事前に経験者の話を聞いていたら、もっと視野が広がったかもしれません。
また、悩むぐらいなら行動に移してみるのも一つかと思います。私は不安なことや分からないことは、コミュニケーションで解決してきました。
移住して3年半。自分の強みを活かして、少しずつ地域の人に還元していけるようになりました。現在は観光プロデューサーとして瀬戸内市をより多くの人に楽しんでもらえるようなツアーの企画を考え、販売しています。例えば、無人島へのクルーズや備前焼陶芸体験などです。
何かに迷っているのなら、移住して自分のポテンシャルを出せる環境を自ら作ってみてはいかがですか。

無人島で行った子どもキャンプ
(※このインタビューはふるさと回帰支援センター発行の情報誌「100万人のふるさと」2025早春号の内容をWEB用に一部再構成したものです)

合同会社『USHIMAROBI』代表社員、観光プロデューサー 中井 裕貴さん / なかい ゆうき
大阪の高校卒業後、まちづくりを学ぶため大学へ進学。卒業後は地元大阪で就職。旅行好きが高じて国内旅行業務取扱管理者の資格を取得。瀬戸内市で観光業に特化した地域おこし協力隊を募集している話を聞き、2021年8月に単身岡山県瀬戸内市に移住し、地域おこし協力隊として着任。現在は合同会社『USHIMAROBI』代表社員、観光プロデューサーとして活躍中。
■関連リンク
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