家族の笑顔を最優先!妻の地元に移住して見つけた幸せの形

豊川市役所職員 松井 卓也さん
- 移住エリア
- 石川県→静岡県→愛知県豊川市
- 移住年
- 2018年
松井さんご一家。長女の入園式の日に、西古瀬川の桜並木で撮影した1枚
愛知県豊川市で市役所職員として働く松井卓也さんは、生まれ育った石川県金沢市から妻の地元である豊川市に移住してきました。地元に戻って笑顔が増えた妻と長女の成長を見守ることができ、日々幸せを感じています。
一方で、「生まれ育った金沢も大好き」と愛着を持つ松井さん。移住に当たっては家族の幸せを最優先しながら、「電車の乗り換え2回以内で金沢に帰れる場所」など、自分の中での譲れない条件を考え、現在の形にたどり着きました。
目次
結婚を機に転職 生まれ育った金沢を離れて豊川市へ
松井さんが育ったのは金沢市。加賀友禅などの伝統工芸が受け継がれており、また、武家屋敷などの歴史的建造物や美術館もあり、歴史や文化が身近に感じられるまちです。そのようなのどかで落ち着いた雰囲気の地元が大好きだったという松井さん。大学卒業後は地元でフリーペーパーを発行する会社に就職し、営業から企画、総務などを任され、忙しい日々を送っていました。
働き始めたころからお付き合いしていた方が、現在の妻である里依子さんです。里依子さんが豊川市に住んでいたため、月に1、2回、金沢市から片道4時間かけて愛知県に通っていました。2人は遠距離恋愛を実らせ、結婚を決めます。
結婚に際し、里依子さんのお父さんから「結婚は認めるが、一人娘なので、できれば東三河地方に転職して近くに住んでほしい」という希望を聞きました。
「一度きりしかない人生。色々な仕事を体験してみたいな」
という思いもあった松井さん。東三河地方で転職先を探しましたが、その頃は希望する職種に巡り合えず、愛知県の隣、静岡県の食品メーカーに転職し、里依子さんと入籍します。
豊川市との距離が車で1時間半ほどに短縮されたことで、週末に里依子さんの実家がある豊川市を訪れる機会が増える中、気づいたのは、静岡にいる時よりも豊川市にいる時の方が里依子さんの笑顔が増えていることでした。里依子さんが案内してくれる地元の行事は彩り豊かで、神社のお祭りで手筒花火を見て、心から驚いたこともありました。また、公園で見た梅園の美しさも心に残っているそうです。このような季節の行事を大切にする豊川のまちや人々を見ながら、のんびりと落ち着く感じが、大好きな地元である金沢と似ているな、と感じました。

初詣客でにぎわう豊川市の名所、豊川稲荷。松井さんもマルシェに遊びに行くこともあり、馴染み深い場所だ(豊川市役所提供)
その頃、里依子さんから、豊川市役所が社会人採用で職員募集をしていることを聞きました。ちょうど社会人として働き始めて10年目の節目で、何か新しい挑戦をするにはいい機会だと思いました。何より、「家族が笑顔で暮らせる場所に住もう」と思ったことに背中を押され、市役所の採用試験に挑戦。採用され、豊川市への移住の道が開きます。

社会人経験枠で採用され、豊川市役所で働く松井さん。庁舎管理の部署を経て、現在は障害福祉課で勤務する
移住前に譲れない条件を洗い出す
何度も訪れ、雰囲気も気に入っていた豊川市ではありましたが、いざ仕事をしながら住むとなると話は別です。まずは、自分にとって譲れない条件を洗い出しました。松井さんの場合、「主な移動手段は電車より自動車がいい」「年に1回は金沢に帰省したいから、電車の乗り換えが2回までで済むエリア」「妻の実家からも遠すぎないエリア」があがりました。
最初は賃貸マンションで暮らしながら働き始め、しばらくしてからマイホーム建設に向けて動き出します。市役所に入庁した年に長女の彩花里さんが生まれたこともあり、子どもの小学校、勤務先の市役所、そして妻の実家から近い場所を条件にして土地探しを開始。住宅メーカー担当者から紹介してもらった不動産会社を通じて、条件に合う土地を見つけ、新居を建てました。
職場の市役所までは車で10分。当初は車で通勤していましたが、現在は自転車で通勤するようになりました。
「風が温かくなったことで春の訪れを感じ、夏はびっしょり汗をかいて、息が白くなり始めたら冬を感じます。季節を体で感じられるのがいいですね」
と話します。

勤務先の豊川市役所まで自転車で通勤する松井さん
子育て環境が整う豊川市の良さを実感
豊川市への移住後に長女が生まれた松井さんは、「独身時代とは移住先に求めるものが変わりましたね」と話します。豊川市には、遊具が充実した赤塚山公園など大きな公園がたくさんあります。長女が乳幼児の頃は、車で10分ほどの場所にある市の子育て施設つどいの広場「MAH」もよく利用したそうです。
移住前は豊川市の子育てに関する施設の充実ぶりには気がつきませんでしたが、ふと思い当たって以前住んでいた地域の施設についてネットで検索してみたところ、狭い公園や遊具のない空き地しかありませんでした。改めて子どもがのびのびと遊べる公園が身近にあるありがたさを感じたそうです。

子ども向けの大型遊具が充実した豊川市の公園。写真は赤塚山公園の昆虫遊具(豊川市役所提供)
移住を考える人へのメッセージ
住まいや仕事が変わる移住は、人生の大きな決断になります。経験者として松井さんが勧めるのは、自らのライフプランに合わせた条件を考え、それに沿った移住先や住まいなどを探す方法です。
「将来、何がしたいか。移住先ならそれが実現できるのか。したかったことができなかったときに後悔はないかなど、しっかりと具体的に考えた上で行動することが大切です。私の場合は、譲れない条件をいつも3つ設定してきました。1、2個の条件だと移住先や住まいなどの候補が多くなりがちですが、3個になるとかなり絞ることができ、選びやすくなります」
とコツも教えてくれました。
また、妻の実家がある市という縁のある場所への移住だった松井さんですが、観光地として訪れるのと実際に住むのとでは、大きな違いがあると感じています。

2023年秋、豊川稲荷の稚児行列に参加した長女の彩花里さん
「暮らしの面から移住先について知ることがとても大切だと思います。観光地を訪れることからスタートする人も多いと思うのですが、少し離れた場所にある商店街や住宅街をお散歩気分で歩いてみると、また違う印象があります。また、豊川市には『CITY AND PEOPLE ~ひとのわ、とよかわ。~』という移住・定住サイトがあり、住まいだけでなく、子育て支援や老後の生活まで様々な補助制度などを紹介しています。このような自治体の情報サイトを積極的に見てみるのもいいと思います」
とアドバイスをしてくれました。
家族の笑顔が増えた場所で人生を歩む松井さん。「大切な家族が住むまちだからこそ、市役所職員としてもっと盛り上げていきたいですね」と意気込みます。
週末に家族の笑顔で元気をチャージ、今日も自転車にまたがり職場へ向かいます。

週末、子どもと遊ぶのが松井さんの元気の源。豊川市内には子どもがのびのび遊べる公園が多く、子育ての大きな支えになっている

豊川市役所職員 松井 卓也さん / まつい たくや
1985年石川県金沢市生まれ。大学卒業後、地元の出版社に就職。愛知県豊川市出身の妻との結婚に際し、義父から「できれば近くに住んでほしい」という要望があり、東三河地方への移住を考える。静岡県内の食品メーカーを経て、豊川市役所の社会人採用枠に合格。2018年に入庁し、豊川市に移住。妻、年長の長女と市内に暮らす。