東京の普通の家族が、人に惹かれ、縁を信じてスピード移住
フリーランスライター 中畑 裕美さん
- 移住エリア
- 東京都→岐阜県恵那市
- 移住年
- 2021年
「人に惹かれ、縁を信じて来た」と語る中畑さんは、現在夫と子供と3人暮らし。コロナ禍をきっかけに移住を考え始めた中畑さんご一家が、なぜ岐阜県恵那市を選んだのか。どんな風に今の暮らしに至ったのか?その道のりをうかがいました。
目次
コロナ禍でリセットボタンを押してみようと思った
子どもが小学校に上がる頃には首都圏の郊外で暮らしたい、と考えていました。そこにコロナ禍で夫の会社が業績悪化、2021年1月に夫が退職することになり、それなら一回リセットして、住む場所をガラッと変えてみようということになったんです。
最初は夫の両親の住む北海道や、気候がよくて住みやすそうな瀬戸内など、漠然と遠いところをイメージしていました。有楽町のふるさと回帰支援センターで、たまたま声をかけてくれたのが、岐阜県の相談員の岩瀬さん。岐阜を推してくる訳ではなく、移住を検討し始めたばかりの私たちに、移住するとはどういうことか、仕事の探し方などを、丁寧に話してくれました。そのお話を聞き「そうか」と、いろいろ腑に落ちました。
漠然と考えていた移住先が、一気に絞られてきた
私は愛知県の端の豊田市稲武町の出身で、岐阜は隣の県。もともと自分の地縁のある場所に行きたいという希望はなかったんです。実家は田舎で交通の不便な場所ですが、両親はそれでも地元を離れるつもりがないという思いを聞く機会がありました。一人いる弟は札幌に家を建て根付いているので、それなら私が近くにいる方が良いのかなと思い始めたのです。岐阜の話を聞いた後、長野県も視野に入れ、だんだんと候補のエリアが決まってきました。
私の地元では、自宅から通える高校が町外の2校しかなく、大学進学を視野に入れると、家を出ることになります。私自身も15歳で家族と離れて進学したので、子どもには、高校の選択肢を持てる場所が良いなと考えました。さらに、新しい土地を求めたい気もあり、実家にそれなりにアクセスの良い場所、岐阜の東濃の方か、長野県の西側に絞りました。最後は、センター相談員の岩瀬さんとのご縁が大きかったですね。すごく親身になってくださったので、「じゃあ岐阜で」という感じでした。
夫の仕事探しはハローワークと県の運営する就職サイトで
夫は、移住後も会社勤めを望んでいました。これまでと同じ営業職を希望していたところ、恵那のくらしビジネスサポートセンターの支援もあり、恵那市と市外の会社2社から内定をいただきました。待遇もほぼ東京時代と変わらず、移住支援金もいただけることに。ほかの市町も調べていたのですが、1回だけ現地へ行き案内してもらった恵那市の対応が際立って良く、移住を決めました。
年長の息子はこども園、夫は会社員、自分はフリーランスライターとして家で仕事をしていて、基本的には東京の頃と働き方は変わっていません。
最初は市街地を考えていたが、セミナー参加で気が変わる
木曽川北側の笠周3町のセミナーに参加して、アクセスに苦労するほどの田舎ではないことを知りました。自然の豊かさや、移住者の受け入れ体制もきちんとある点に惹かれて笠周3町をメインに住まいを探したところ、運よく中野方町の移住定住促進住宅に入れることになりました。ここでは、目に入るもの、音の環境が全然違いますね。東京では、鉄道や幹線道路も近く賑やかな場所に住んでいましたが、こちらの夜は真っ暗で、今の季節はカエルの声だけが響きます。
車は一人一台が基本です。このご時世でリースの車両不足で、7月に引っ越して、私の車がようやく手に入ったのが12月。それまでの約半年間は自由に買い物にも行けず、相当なストレスでした。スーパーのある市街地までは車で25分ほどかかります。家で仕事しているので、ちょっとあれ買いに行こう、と思っても行って帰って2時間。それを考えると気軽に出掛けられず、すごく効率化を考えるようになりました。オンライン化で移住後はむしろ仕事量は増えているのですが、自分が望むスローなライフスタイルと収入のバランスを試行錯誤しているところです。
普通の人でも移住して大丈夫!
1月に退職、7月には移住。検討期間がかなり短かったですが、ふるさと回帰支援センターの岩瀬さん、恵那市や中野方町の移住推進の担当者の方が熱心で、人に惹かれ、縁を信じて来た感じです。結果的に家族みんなが「来てよかったね」と満足しています。
移住セミナーなどに参加すると、農業したり民泊したり起業したり、という人が多いので、何かしなきゃ移住しちゃいけないのかなという雰囲気を感じることもあるかもしれません。
我が家はごく普通です。夫はサラリーマン、私も仕事は変わっていないので、あまり歓迎されないのかなと少し心配していましたが、全然そんなこともなく。実際移住者の8割方は普通の人ではないでしょうか。
家に畑が付いていて、畑仕事も始めたところ。みんな畑をやっているのが当たり前の場所なので、話のネタにもなるし、色々教えてもらえるし。その土地ならではの、みんながやっていることをやるのは楽しいなと思います。
(※このインタビューはふるさと回帰支援センター発行の情報誌「100万人のふるさと」2022年初夏号掲載の内容をWEB用に一部再構成したものです)
フリーランスライター 中畑 裕美さん / なかはた ひろみ
愛知県豊田市稲武町出身。移住前からフリーランスのライターとして活動し、現在は夫と子供の3人暮らし。