何も持たずにこの町に来て、思った以上の自分にたどり着きました
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もみのき食堂 又野 寛さん
- 移住エリア
- 大阪府→和歌山県紀美野町
- 移住年
- 2012年
大阪府出身。食と農につながる暮らしをするために、2012年に紀美野町に移住した又野寛さん。他の地域を見ることもなく、いいと思った印象だけで決めた移住生活の先には、思い描いた以上の暮らしがありました。
この町を見ただけで決めました。
現在、和歌山県紀美野町で「もみのき食堂」を営む又野さん。和歌山への移住のきっかけは、お子さまが体調を崩されたことがはじまりでした。
「子供の体調が少し悪くなり、妻がかかりきりになってしまったんです。それで、僕が毎日の料理をすることになったんですけど、どうせ作るなら自然食でやってみようと。それがすごく楽しくてハマってしまいました。実は料理をしたことなんかなかったんですけどね。(笑)」
又野さんは自然食を学ぶうちに地場野菜にも興味を持つようになり、食と農につながる暮らしをしたいと思いを膨らませます。
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郊外からも多くの方が食べにくる、地場野菜をふんだんに使ったこだわり料理
「最初は大阪の郊外に移ろうかと考えていたのですが、たまたま龍神温泉に旅行したら、『やっぱり田舎だ!』と思って、自分の中では移住を決めていました。」と話されます。
先にかつらぎ町に移住していた友人に毛原地区がいいんじゃないかと聞き実際に現地へ。「移住される方はいろいろ回る人も多いと思うんですが、僕はここだけを見て決めました。いい印象しかなかったので、その気になっているうちに移住しちゃいました。」と朗らかに笑われます。
週末のランチを出すレストランをオープン。
移住をしてから出会ったマルイチ農園の仕事が、少しずつ又野さんの思いを動かします。
「マルイチ農園で農業の仕事を手伝っていたのですが、オーナーさんが『農園で米蔵再生プロジェクトに取り組んでいるので、何かやりたいことがあったらやってみない?』と言ってくれて。それなら起業して目標だったお店をしようと思いました。」
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休日はカップルやファミリーなど、多くの方で賑わう。
この米蔵は「くらとくり」という名前で、又野さんの「もみのき食堂」、他のUターン者の方が手がけるカフェ、オーナーの作物を売るショップの3つでシェアされています。「『食と農に関わる仕事』というテーマを持っていたので、農家さんと一緒にレストランができるのは夢のようです。」と又野さんは顔をほころばせます。
現在「もみのき食堂」は土・日曜日だけの営業。木曜日に買い出をして仕込みをはじめ、金曜日はまるまる一日仕込みをし、週末のオープンを迎えます。
「週末のランチだけの営業ですが、バタバタと一週間が過ぎますね。売上的にはようやく軌道に乗ってきた感じです。野望としてはここを残しながら、自分の場所も欲しいかなと。ステップアップするための資金をつくるのが目下の課題ですね。」
レストランからさらなる仕事の広がりも。
又野さんは、移住を考えている方からいろいろと相談を受けることも多いそう。
「迷って迷って決まらない、という方は多いですね。僕もここに来るまでは、自分で何かできることを持ってないとダメだと思っていました。でも、まず移住して、その土地での暮らしの中から生業を見つけられた先輩移住者もおられます。一旦移住ありきで、そこから道を見つけるスタイルもあるんです。」と話をされます。
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一目ぼれした紀美野町に、”手ぶら”で移住したと朗らかに語る又野さん
そんな又野さんにとって、起業する時に大きな力になったのが奥様の存在。
「移住をして働きはじめると“これでもいいかな”という思いが出て来るんです。そんな時に妻が『あなたのしたいことはこれじゃないでしょ。お店がしたいんでしょ』と強く背中を押してくれました。まったくの手ぶらでの移住だったので、よくついて来てくれたなと思います。」と頭を下げる。
最近では、レストラン以外の出張教室やお弁当の受注、ケータリング、イベントなど、仕事の幅が広がりはじめたとのこと。食と農からはじまったお店は一歩ずつ階段を上っているようです。
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もみのき食堂 又野 寛さん / またの ひろし
大阪府で会社員をしていたが、「食」と「農」につながる暮らしにあこがれ、2012年和歌山県紀美野町に移住。
移住後は、農家で農業を学びつつ、菜食料理の勉強を重ね、地場野菜を使った自然食メニューを提供する「もみのき食堂」をオープン。県外からもお客さんがやって来る人気店に。
■もみのき食堂
・所在地 和歌山県海草郡紀美野町西野685
・TEL FAX 073-499-5580
・Mail [email protected]
・Webサイト http://kuratokuri.wixsite.com/share/mominoki