日本屈指の観光地「伊勢志摩」内にある鳥羽市で、地元に愛されるお店を
「クボクリキッチン花清水(鳥羽ちゃんぽん)」 経営 清水 透・るり子さん
- 移住エリア
- 大阪府→三重県鳥羽市
- 移住年
- 2019年
「食材が美味しいところ、観光地でお店を開きたい」と大阪から移住した清水透さん・るり子さんご夫妻。和食の技術を活かしたちゃんぽん屋「花清水」を営む、おふたりの移住ストーリーをうかがいました。
目次
忙しい日々で考えていたのは、自然豊かなまちへの移住
透さんは埼玉県出身、るり子さんは大阪府出身。ふたりの馴れ初めはいわゆる「ゲレンデの恋」でした。それぞれ旅行で行ったスキー場で出会い、そこから遠距離でのお付き合いが始まりました。
透さんは京都の料亭で腕を磨き、結婚して2年ほど経つ平成5年に独立し、大阪に割烹料理店「花清水」をオープンしました。そこからは透さんとるり子さんの二人三脚生活が始まります。
お店の経営は順調で、忙しい日々を過ごすうちに「いつか子育ても仕事もひと段落着いたら、自然の豊かなまちで仕事も趣味も楽しめる生活を過ごしたい」という夢が大きくなりました。とりわけ、るり子さんの移住への想いは強くなっていったそうです。
移住フェアでの出会い
子育てもひと段落つき、いよいよ移住へ向けて情報を集めるために大阪で開催されていた「おいでや!!いなか暮らしフェア(※)」へ参加しました。全国の市町がブースを出していましたが、ふたりが移住先に求める条件は「自然が豊かである」「食材が豊富」「田舎過ぎず、観光地である」「大阪から程よい距離にある」こと。
そんな想いを知るかのように出会ったのは、鳥羽市の職員でした。
「市についてとても熱心に説明をしてくださって、『一度お越しください』と誘われました」
その後も季節の便りやかわいいイラストのカレンダーやパンフレットが鳥羽市から送られ、透さんたちは次第に「一度鳥羽市へ行ってみよう」という気持ちになりました。
鳥羽の現地を見学した際に、おふたりは自分たちの移住の希望条件を満たしているまちだと感じたそうです。運がいいことに、たまたま地域おこしが活発に行われている地域「鳥羽なかまち」で空き家をリノベーションしたキッチン完備のチャレンジショップがあり、挑戦することにしました。どんなメニューで試すかを相談し、「どうせなら鳥羽に無いものを」ということでふたりが好きな麺類「ちゃんぽん」を提供することにしました。
住居も鳥羽市の移住体験住宅を活用。そのおかげもあり、無理なく挑戦することができたそうです。
一ヶ月試した結果、地元の人たちが多く来店し、手ごたえは十分。これで開業の決心がつき、移住と開業に進むことができました。
「おいでや!!いなか暮らしフェア」…大阪ふるさと暮らし情報センターおよびふるさと回帰支援センターが主催する関西最大級の移住マッチングイベント
移住してからの充実した生活
移住し、2019年5月にちゃんぽん屋「花清水」を開業しましたが、半年でコロナ禍に。
「それでも、たくさんの地元の人たちが食べて応援してくれました」
元々割烹料理店時代に人気があった炙り鯖寿司もちゃんぽんとセットやイベントなどで提供していましたが、口コミで広がり別のお店で販売することとなりました。また年末年始に向けてお節料理の予約販売もし、仕込みなどしています。今ではSNSやWeb経由で観光客や市外の方も来店するようになりました。
住居についても、初めは鳥羽市の短期お試し住宅(市営住宅)を借りて生活していましたが、地元の方からの紹介で海の見える空き家をお借りすることができました。木工が趣味でもあるので自分でリノベーションしながら鳥羽ぐらしを楽しんでいます。一軒家に住むことになり、地域の方との交流が多くなり、地域行事などにも呼ばれ参加するようになったそうです。
まだまだやりたいことがいっぱい!
今後の抱負についてうかがいました。
「鳥羽にないものを提供したいですね。それに、都会のサービスも鳥羽に持っていきたい」
自分たちが出来ることや、鳥羽の方々が求めていることはなにかと考えているそうです。一方で、鳥羽市は「大人の遊び場」が無いのでそれが寂しくもあるとのこと。
「海の景色や景観など、住民の方が思っている以上にポテンシャルが高いまちだと思います。だからそういった場所もできると嬉しいですね」
また、移住を考えている方へのメッセージもうかがいました。
「移住相談や体験など、移住に際しては何度も訪問して準備するというステップを踏んだ方が良いかと思います。ステップを踏まずに移住をする人たちを見ると少し心配にもなりますね。あと、安易な考えでカフェはやめておいた方がいいです(笑)」
自分の趣味の延長でのカフェでは生活が厳しくなるということや、移住先の人たちが何を求めているのかをよく検討して起業してほしい、と移住と開業を実際にした先輩からのアドバイスでした。
海が目の前でキラキラする鳥羽市で、地元の方に求められ愛されるお店作りに興味がある方は実際に足を運んでみるのはいかがでしょう?
「クボクリキッチン花清水(鳥羽ちゃんぽん)」 経営 清水 透・るり子さん / しみず とおる・るりこ
それぞれ埼玉県、大阪府出身のご夫婦。夢であった移住実現に向けて動いていたところ、鳥羽市の移住定住係と出会う。食材の豊かさ、田舎と観光都市としての機能を持つ点に惹かれ移住を決意。2019年には鳥羽のなかまちにある空き家を改修した「クボクリ」というコワーキングオフイスの1階に、「クボクリキッチン花清水(鳥羽ちゃんぽん)」を開業。現在は週4日の営業を妻と二人で切り盛りしている。
■「花清水」Instagram:@hanashimizu2019