第4回 協力隊の約8割が生活に満足する地域!現役隊員の本音 県南地方の移住の魅力?(地域おこし協力隊編)
今回は地域おこし協力隊という制度を用いた移住について説明します。
県南地方の各市町村ではこれまで27名もの地域おこし協力隊の受け入れを行っており、現在は11名の方が活動しています。
ここでは地域おこし協力隊とはどういった制度なのか、現役の地域おこし協力隊の方に行ったアンケートから地域おこし協力隊の実態について紹介します。
目次
地域おこし協力隊とは
総務省が2011年より実施している事業です。
ポイントは4つ。
● 都市地域に住んでいるひとが、地域に住民票を移し地域に居住すること
● 地方公共団体の職員として地域が定める地域おこし活動や農林業へ従事すること
● 報償費は年間約200万円ということ
● 任期は単年度更新制で最長3年間まで延長できること
さらに、
多くの地域では住宅費に対して支援があり、多くは家賃の全額を公共団体が支給しています。
また、活動は公用車を使用でき、地域によってはリース車を地域おこし協力隊に支給しています。
地域おこし協力隊の募集について
地域おこし協力隊は採用する地方公共団体が募集を行っています。
県南地方の募集情報は「福島県地域おこし協力隊・復興支援員募集・情報サイトふくしまで暮らす-地域の担い手-」に掲載しています。
募集には締め切りがあり定員になり次第募集が停止されますので、常に同じ求人が募集されているわけではありません。
通年で募集をしている地域もありますが、毎年4月からの配属を見越して、3カ月前となる1月くらいに求人情報が出揃う印象があります。
地域おこし協力隊として行いたい活動がある場合や活動したい地域がある場合は移住コーディネーターに相談ください。
地域おこし協力隊だけではなく、就職等も視野に入れて希望と合致する求人の案内をさせていただきます。
<募集サイト>
地域おこし協力隊・復興支援員 募集情報サイト「ふくしまで働く-地域の担い手-」
https://f-ninaite.jp/
現役の地域おこし協力隊へアンケート
現在、県南地方で活動している地域おこし協力隊はどのような活動を行っているのでしょうか。
地域おこし協力隊にアンケートを行った結果はこのようになりました。
任期後に不安を抱える方の半数以上が、収入を得ることができるか、任期後にどのような仕事に就くことができるかということでした。
任期が終了する直前まで心が揺れ動く隊員は多く、地域に仕事があることも理解した中で、たくさんの選択肢から「どんな仕事にしよう」といった、進路が決まっていないことに対しての心理的な不安があることを感じました。
地域おこし協力隊は任期終了後に起業や新規就農しようと思ったら、数多くの補助金や地域おこし協力隊向けの創業支援研修など支援が実施しています。
しかし、本当にやっていくことができるのかという不安はなかなか解消できるものではないでしょう。
また、任期後に新しい生活をしながら、これまで地域おこし協力隊として活動していたことをどのように継続していくかという不安を抱えている方もいました。
今後の目標を各地域おこし協力隊に聞いてみたところ、
任期1年目の方は自分の活動を磨き上げることを目標にしており、2年目の方は地域おこし協力隊の活動を発展させ、任期後を見据えた活動とすることを目標にしていました。
3年目の方はどのように地域の方に感謝を伝えるのか、これまでの活動を継続させるためにどのような仕組みにするのかということを目標にしています。
【記述式回答】
<生活のギャップ>
(よい)
地域の方が想像以上に快く迎え入れてくれた
やさしい人が多い
近所付き合いやしがらみが多いと想像していたが、自分の地域はそこまで厳しいものはなく人間関係にゆとりがある
思った以上に冬が寒くなかった
住宅が1軒家だと思わなかった
思っていたよりも買い物など生活面で苦労することはなかった
思いのほか田舎じゃなかった
村の方が野菜など沢山おすそわけしてくれた
地域の方から野菜をいただけた
任期前に2回来たので想定通り
(悪い)
思っていたほど物価は安くなかった
他人との距離感の保ち方が違うので時に息苦しい
思ったよりも自由度が低かった
募集段階では活動内容が定められていたが、担当者とも活動の打ち合わせ等はなく、実際は建前だったように感じる。
情報の価値が安い
地域おこし協力隊を希望する際に気を付けること
1.地域おこし協力隊としての心構え
地域おこし協力隊は地方就職のひとつとしても考えられますが、地方公共団体が地域おこしに取り組む制度です。総務省では、設置の目的や財政措置の基本的なことを定めていますが、活動内容などの多くの部分は受け入れる地方公共団体に任せられています。
多くの地方公共団体は試行錯誤しながら地域おこし協力隊を運用しています。インターネットなどには地域おこし協力隊側の立場からの問題点などが溢れていますが、地域おこしの活動内容を地方公共団体といっしょに構築するという心構えが必要となります。
2.隊員第1号かそうではないか
そのため、同じ地域に先輩の地域おこし協力隊がいる、いないは大きな差があるでしょう。
先輩の地域おこし協力隊がいることによって、雇用形態や勤務形態、活動内容など活動しやすい状況が作られていることが多いからです。
もし、地域おこし協力隊を希望している地域がある場合は、事前に先輩の地域おこし協力隊を訪問し、実際にどのような活動を行っているのかをヒアリングすることでミスマッチを防ぐことができるでしょう。
また、活動を行うにあたっては外部アドバイザーの有無も気にしたほうがいいでしょう。地域おこし協力隊のOB・OGは3年間の地域おこし協力隊の経験から、行政と地域おこし協力隊の間に立って建設的な課題の解決を図ることができます。
外部アドバイザーがいない場合は、応募前に地方公共団体に相談してみるのもいいでしょう。
3.自分自身を管理することができるか
地域おこし協力隊の活動には評価軸というものがありません。そのため自分で評価軸を決めて活動を行うことが必要です。
特に自分で活動を立案し実施するフリーミッション型と呼ばれる地域おこし協力隊に求められます。
地域はどのような課題を抱えているのかを仮定し、解決を図るために行動する。
おそらくほとんどの方が「地域おこし」という分野を仕事にすると思いますが、一般の会社に入社し働くような意識ではなく、ある種研究者のようなモチベーションを持つことができれば活動はうまくいくでしょう。
まとめ
これまで多くの地域では、地域住民が自分の生業を行いながら地域づくりを同時に行ってきました。
現在は住民が地域づくりに割く時間が不足していることや少子高齢化の影響によって、地域づくりの担い手が不足しています。
そのため多くの地域では、地域おこし協力隊の存在は感謝されるでしょう。
地域おこし協力隊には任期が3年しかないというデメリットを抱えていますが、地域住民との信頼感を構築することができれば新しい可能性が開けてきます。
自分のスキルや価値観を押し付けるのではなく、「地域に感謝される活動を行う」といったモチベーションを持つひとこそ、地域おこし協力隊に向いている人だと思います。
また、3年という期間は、「地域おこし協力隊がいたからできる活動」から「地域住民が行う活動」へとシフトするためのちょうどいい設定期間だと言えます。
「地域おこし協力隊がいたからできる活動」では地域おこし協力隊がいなくなってしまえば維持することが難しくなる。
うまく事業を回していくことができれば地域に文化として定着するでしょう。
さらにマネタイズできれば起業という形で地域に関わり続けることができます。
その判断をするのに3年間はちょうどいい期間ではないでしょうか。
次回は移住をどのように進めていくのかということをお話しします。
仕事のこと、生活のこと、お金のことなど移住には多くのことを考えなければいけません。
まずはどんなことから検討を始めたらいいのか、移住のイベントやセミナーはどう活用すればいいのか、移住コーディネーターや移住相談員にはどんな相談に乗ってくれるのかなどをご紹介します。