【現地視察レポート】「なぜ、あいちの山里に?」移住者へ愛に行ってきました!(Vol.2 設楽町・豊根村) |地域のトピックス|FURUSATO

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【現地視察レポート】「なぜ、あいちの山里に?」移住者へ愛に行ってきました!(Vol.2 設楽町・豊根村)

【現地視察レポート】「なぜ、あいちの山里に?」移住者へ愛に行ってきました!(Vol.2 設楽町・豊根村) | 地域のトピックス

【現地視察レポート】「なぜ、あいちの山里に?」移住者へ愛に行ってきました!(vol.1 東栄町)の続編です。まだお読みでない方は是非ご一読ください)

愛知県東部に位置し、豊かな自然に囲まれたあいちの山里(岡崎市の額田地区、豊田市の旭、足助、稲武、小原、下山、藤岡の各地区、新城市、設楽町、東栄町、豊根村)。その中で、新城市・設楽町・東栄町・豊根村の4市町村は、三河地域の奥に位置していることから、「奥三河」と呼ばれています。

美しい山々と清流、数百年も前から受け継がれる伝統芸能、豊かな食文化。奥三河にはどこか昔懐かしい日本の原風景が残っています。

そんな美しい自然に囲まれた「奥三河」に、これまで多くの方が移住されてきています。

「どうして奥三河に移住してきたのか?」「奥三河でどんな暮らしを送っているのか?」

夏の終わりと秋の訪れを感じる9月中旬。奥三河に移り住んで暮らす方々に愛に(会いに)行ってきました。続編となる今回は「設楽町」「豊根村」の3組の移住者を紹介します。

設楽町 オリエンテーリング/古民家宿&バル/空き家DIY? 戸上直哉さん・麻美さん

シックな青を基調とした幕と衣装が落ち着いた雰囲気を醸し出しています(偶然、ジャケットが同色でした)

笑顔が素敵な戸上直哉さん・麻美さんご夫妻。設楽町の築130年の古民家を改修した星空の丘に佇む宿と、地域の名産品料理や日本酒カクテルを楽しめるバルを経営しています。

戸上さんご夫妻は千葉県出身。共通の趣味がオリエンテーリングで、ご夫婦で全国各地の大会に出場していたそうです。そんな中、出会ったのが設楽町。オリエンテーリングのフィールドに適した自然資源が豊富にあるところに注目し、「設楽町でオリエンテーリングをやりたい!」となんと設楽町に直談判。当時はオリエンテーリングの「オ」の字もなかった設楽町に思いの丈をぶつけ、町もその熱意と可能性に共感。2019年に夫婦で地域おこし協力隊として縁もゆかりもない設楽町に移住し、オリエンテーリングを通じた地域活性化の取組みを始めました。

戸上さんご夫妻が惚れ込んだ設楽町の大自然。こんな贅沢なフィールドを駆け回るオリエンテーリングは最高ですよね!

地元住民と連携して「したらオリエンテーリングフェスタ」「奥三河ほうらいせん2days」をスタートさせ、今では町内外から多くの方が参加するなど、設楽町を代表するイベントになりました。
年齢や性別、経験の有無を問わず、みんなが楽しめるのがオリエンテーリングの魅力です。

地域おこし協力隊の卒業後も定住を決め、今年6月には古民家宿&バル「てらわき」をオープン。美しい緑に囲まれ、都会の喧騒を忘れされてくれる非日常的な空間です。「宿」と「バル」という人と人が交流する場を作り、そこで地元の食材を使った料理や地元産の日本酒のカクテルを提供することで、設楽町ならではの食文化や魅力を発信しています。
さらに空き家問題を解決すべく利活用事業も始め、地域と移住希望者の架け橋になっています。

人口減少と担い手不足が課題の山間地域では、戸上さんご夫妻のように複数の仕事を掛け合わせた「複業」という働き方が注目されており、同時に設楽町は多様な生き方が実践できる地域でもあります。

戸上さんご夫妻は口をそろえて「設楽町はとにかく人が温かい」と話します。
「ご近所さんが野菜をくれたり、声をかけてくれたり。その温かさに触れ、移住してすぐに定住を決めました。設楽町の魅力をもっと知ってもらいたいし、持続可能な地域づくりのために、仲間を増やしてこの地で頑張っていきたい」

地域に根差した事業を幅広く手掛ける戸上さんご夫妻。オリエンテーリングで設楽町に人を呼び込み、古民家宿&バルで交流し、移住希望者に空き家探しのサポートをする。すべての事業がうまく絡み合って、地域にいい循環をもたらしていると感じました。

古民家の改修&DIYには町内外から多くの参加者が。戸上さんご夫妻の周りには自然と人が集まってきます。

一般社団法人コライフ

古民家宿&バル てらわき

豊根村 味つけ廃鶏&若鶏/アパレル 胡桃 珠音さん・芳太郎さん

芳太郎さんのご両親が営む坂口屋商店さんの前で。食材や日用品を取り扱う地元住民に欠かせない生活の拠点です。

愛知県で最も標高が高い茶臼山(1,415m)があることから、「あいちのてっぺん」と呼ばれる豊根村。県内市町村で一番人口が少ない村で、20代の若いご夫婦が奮闘しています。

株式会社Rev.とよね代表の胡桃珠音さんと旦那さんの芳太郎さん。名古屋市出身の珠音さんは小さい頃から家族で豊根村を何度も訪れていて、気づいた時には大の豊根村好きに。その後、村が募集していた地域おこし協力隊として豊根村に移住し、当時村役場の職員だった芳太郎さんと知り合い結婚されたそうです。

第一印象はおっとりほんわかしたご夫婦でしたが、いざ話をすると豊根村への愛とチャレンジ精神に満ち溢れたエネルギッシュなお二人でした!

そんな2人が手掛ける事業が、豊根村伝統のソウルフード「味つけ廃鶏・味つけ若鶏」の製造販売。誕生から50年間、これまで村外不出で豊根村でしか食べられなかったローカルグルメですが、芳太郎さんのご家庭で3代に渡って受け継がれてきた秘伝の味を商品化。
「もっと多くの方に味つけ鶏肉のこと、豊根村のことを知って欲しい」と全国どこからでも購入できるようにネット通販をスタート。ソウルフードの味つけ鶏肉を通じて豊根村の魅力を発信し続けています。

廃鶏は弾力ある歯ごたえと、噛むほどにあふれ出すうま味が大人気。若鶏は柔らかさが食べやすいとお子様やご高齢の方に好評。

豊根村を飛び出して、西は名古屋市、東は浜松市へ。豊根村の代表として村の特産品をしっかりとPR。

若者の都市部への流出が課題となっている豊根村。若者が働く職場や職種の選択肢が少ないことが理由で、大好きな豊根村を離れているそうです。そこで胡桃さんご夫妻は、若者、特に豊根村で生まれ育った若い女性や移住者の女性が村内で働ける仕事を作り、雇用を生み出す新しい事業を手掛けます。それがアパレルブランドの立ち上げです。友禅や金襴など和柄生地を使用した「豊根村発」のブランドで、職業体験に来た地元中学生にも大好評。ただの営利目的ではない、子供たちの未来の選択肢を増やすための取組みです。

「目標は30年後、40年後の村の未来を創ること。大好きな豊根村で若者が輝ける環境を作りたい」

村の未来と若者の未来に目を向ける。若い20代のご夫婦だからこそ気づける視点だと思います。
豊根村のソウルフード味つけ鶏肉を通した豊根村の発信、アパレル事業による若者の未来への投資。胡桃さんご夫妻は資金面でも体制面でもまだまだ余裕はないと明るい表情で語りますが、「豊根村への愛」が挑戦する原動力となっていて、心の底から挑戦を楽しんでいるように感じました。

株式会社Rev.とよね<味つけ廃鶏> 公式HPより。胡桃さんご夫妻の思いが込められています。

株式会社Rev.とよね<味つけ廃鶏> 公式HP

和*輪-WARIN-(アパレル)インスタグラム

豊根村 チョウザメ養殖販売/学習塾経営 小早川武史さん

はにかむ笑顔がチャーミングな小早川さん。華奢な体付きに見えますが 、手掛ける事業は超肉体労働なんです。

続いての移住者は、同じく豊根村の小早川武史さん。NHKの『いいいじゅー!!』を始め、多くのメディアで紹介されるなど、豊根村ではちょっとした有名人です。それもそのはず、小早川さんが手掛けている事業が、世間では珍しい、高級食材キャビアで有名な「チョウザメ養殖」。「なぜ、若者が山深い豊根村でチョウザメ養殖?」。そんな疑問を持つ方も多いと思います。小早川さんが豊根村に移住した理由に深く関係しているんです。

小早川さんは現在25歳。豊根村に移り住む前は都内の大学に通うごく普通の若者でした。転機は大学3年生の時。当時の小早川青年は周りの学生と同じように就職活動真っ只中。金融関係の会社から内定をもらっていましたが、敷かれたレールの上を歩き続ける人生に疑問を持ちます。そんなモヤモヤしている時に参加した移住促進イベントで、豊根村がチョウザメ養殖を担う地域おこし協力隊を募集していることを知ります。「このまま会社の歯車として働くより絶対に面白い」。そう確信した小早川さんは就職活動をやめ、2019年に地域おこし協力隊として豊根村に移住しました。

そもそも、豊根村でチョウザメ養殖が始まったのは2012年。人口減少に直面する豊根村の活性化の新事業として、熊谷仁志さんら地元の有志が始めました。試行錯誤の日々を重ね、大きな節目となる10年を経た今年、悲願の豊根村産キャビアの生産がスタートしました。

師匠の熊谷さんの元でみっちり3年間、養殖技術を学んだ小早川さん。今年の春に地域おこし協力隊を卒業した後も、豊根村での定住を決めるとともに、師匠の元を離れて独立する道を選びました。

この決断は並大抵の覚悟では決してできません。大きな水槽3つを1人で管理し、荒天となると水槽の水が濁ってチョウザメが弱るため、常に監視を欠かせません。しかも、自宅から水槽までは車での移動。エサ代や水槽の維持管理費など毎月の出費もかなりの額です。それでも、養殖に必要な資金を工面すべく、チョウザメと並行してアマゴを養殖したり、地元の子供向けに学習塾を開いたり、今できることを必死に取り組んでいます。
まとまったお金が入る「キャビア生産」まで10年かかります。気の遠くなるような作業です。

周りを山々に囲まれた静寂な環境に、ポツンと1人。
過酷で孤独な環境に身を置き、あえて険しいいばらの道を選んだ理由を尋ねると…

「自分の責任のもとでチャレンジしたい」
「豊根村のためでもあるけど、何より自分のために頑張る。結果と責任をすべて自分が背負うしかない。そうして頑張った結果、豊根村のために繋がればいい」

就職という安定の道を捨て、地域おこし協力隊として縁もゆかりもない地への移住を決めた時と同じように、常に挑戦する気持ちを忘れないのが小早川武史の生き方なんだなと改めて感じました。

移住してから3年間。豊根村の方から食材を頂いたり、声をかけてもらったり、常に応援してくれる豊根村にはとにかく感謝しかないそうです。キャビアができるまで10年。長く険しい道のりですが、愛情のこもった唯一無二のキャビアが誕生し、豊根村に恩返しする日が今から待ち遠しいです。

ある時は豊根村の代表として駅伝選手に、そしてある時は村のおじいちゃんの話し相手に。

【YouTube】たんすいぎょ養殖

過去の記事「豊根村から世界へ「ロイヤルキャビア」?ふるさと納税返礼品スタート!?地域おこし協力隊募集!」

とよね産「ロイヤルキャビア」の申込みはこちら(ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」)

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奥三河で出会った5組の移住者。移住に至るまでの経緯はそれぞれ違いますが、共通するのは「人」との出会い。奥三河を訪れた先での「人」との出会いが移住を考える最初のきっかけであり、そして最終的に移住を決める大事な要素なんだと、改めて気づかされました。
人が人を呼ぶ「奥三河」特有の空気感が、これからも多くの出会いを生み続けていくと思います。

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前編で紹介した「東栄町体験型ゲストハウスdanon 金城愛さん」、そして今回紹介した「豊根村 チョウザメ養殖販売/学習塾経営 小早川武史さん」の2人が、2023年1月28日に開催するセミナーにゲスト出演します!ご自身の移住体験談やあいちの山里での暮らしについて余すところなくお話し頂きます。会場開催のみ、定員25名で申込先着順です。ご参加お待ちしています。

◆2023年1月28日(土) 18:00~20:00 (東京交通会館8階)
「あいちの山里&離島Day~暮らしたい!あいちの山里&離島~」詳細&申込みはこちら

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奥三河地域の観光情報 / 奥三河の伝統のお祭り
動画【あいちの山里時間】鎌倉時代から継承されている神事「花祭」

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