【須崎市】アートと歴史に触れる須崎の文化スポット「すさきまちかどギャラリー」 |地域のトピックス|FURUSATO

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【須崎市】アートと歴史に触れる須崎の文化スポット「すさきまちかどギャラリー」

【須崎市】アートと歴史に触れる須崎の文化スポット「すさきまちかどギャラリー」 | 地域のトピックス

\地域の魅力スポット紹介/
須崎の歴史を色濃く残す施設であると共に、現代アートの分野でも注目されています。
 

歴史ある商家を改装した施設 

須崎市は海山川が揃う町の中に、古くから周辺地域の経済の場として多くの人でにぎわった商店街があります。そんな商店街に位置する「すさきまちかどギャラリー」は、須崎の町の発展に大きく寄与した三浦家(三浦商店)の元邸宅を須崎市が取得し、平成22年に文化交流施設としてオープンしました。今では須崎市の観光・文化・芸術の拠点として注目されている施設となっています。

天然の良港に恵まれた須崎市は、近隣の物資の集散地として栄え、コウゾ、ミツマタなど、和紙の原料や製品を商い、朝鮮半島にまで交易船を出していたと伝承されています。中でも三浦家は須崎で江戸時代から続く有力商家のひとつであり、酒造、米穀業、製紙業、金融など多岐にわたる事業を行っていました。

三浦家が営んでいた三浦商店の建物は、大正時代中期に建築された木造二階建て塗家造(ぬりやづくり※)といわれる、高知県では代表的な商家建築です。分厚い漆喰の軒を持った一面黒塗りが特徴的で、高い漆塗の格天井(ごうてんじょう※)などが豪商の名残を留めています。一、二階にある三層になった高い軒は、城壁のようにせり出して四辺を巡るように作られました。時が経ち色褪せた黒壁はこの建築の重厚さを増し、風格を感じさせます。これを須崎を象徴する文化財として後世に残すべく、大規模な改修工事が行なわれ、一部は高知県の登録有形文化財に認定されています。

※塗家造(ぬりやづくり)…耐火建築として、外壁を土や漆喰で厚く塗り、柱を塗り込んだ家の造り。
※格天井(ごうてんじょう)…木を組んで格子(こうし)形に仕上げた天井。

みんなが主役になれる場所 
当時、証券会社の事務所として使われ今もその時代の名残をとどめるスペースと、母屋として使われていた豪奢な造りのスペースが、現在「すさきまちかどギャラリー」としてアートとコミュニティの場所として活用されています。地域の作家、伝統文化を取り上げた企画展などを実施する一方で、現代美術作家を招聘し、滞在制作と交流を通じて新たな視点から須崎の魅力を探るためのプロジェクト「現代地方たん」を開催し、県内外から注目されています。

「すさきまちかどギャラリー」は、よくある美術館、博物館のような堅苦しさが無い施設です。施設には土間のホールや24畳の和室、キッチンスペースなどがあり、多様な使い方が出来る施設でもあります。有名なアーティストの展示をすることもあれば、地域の方々の作品発表の場でもあるのがこの施設の特徴です。
 

例えば、物作りをされている方は個展を開いて作品を知ってもらうことができ、誰かと一緒に物作りをしたい人はワークショップを、料理を教えたい人は料理教室を開催し、音楽をされる方はライブをすることができます。古民家、和の空間ということもあり、最近ではコスプレイヤーの方の利用もあったり結婚式の前撮りで利用される方もいます。利用する人それぞれが、自分のしたいことができるスペース、それが「すさきまちかどギャラリー」です。

地域に新しい価値を、新しい風を
「すさきまちかどギャラリー」ではスペースの貸出だけでなく、須崎市内外の作家による企画展や地域の文化を紹介するイベントなど、様々な取り組みを行っています。中でも注目したいのが、2014年にスタートした「現代地方譚アーティストインレジデンス(AIR)須崎」の取組です。

須崎市の旧中心市街地はかつて商業の集積地として賑わいを見せていましたが、少子高齢化が進み、後継者不足や消費者の大型店利用でシャッターを下ろす店が増え、現在は人通りもまばらになってしまいました。そこで地域再生の手段として、以前の商業的な賑わいによる復興を目指すだけではなく、文化的な豊かさを育むことで地域に新しい価値を生み、素通りされないような街にしていこうという試みの1つとして「AIR須崎」が始まったのです。
 
これまで多くのアーティストがここ須崎に滞在し、地域住民との交流を深めています。ただ単に作家が須崎を訪れ須崎の景色や歴史を知って作品を作るのではなく、映画監督が小学校へ出前授業に出かけて、生徒たちとともに作品を作ったり、振付師兼パフォーマーと親子で楽しむダンスのイベントを実施したり、演劇の台本を作るためにたくさんの人をリサーチしたりと、地域の人々とのコミュニケーションが多いのもこの取組の注目すべきところです。
 
アーティストの滞在拠点や展示会場として街に点在する建物も活用することで、展示を観るために街を回遊する人の流れも生まれました。地域の人たちが普段歩いている場所、訪れる場所にアートがあることで作品や取組みが身近に感じられ、さらにアーティストのユニークな活動を目の当たりにすることで街に活気が生まれ始めています。

 

すさきまちかどギャラリー館長 川鍋さんにお話を伺いました

古くから須崎にお住まいの方にとって旧三浦邸はまちのシンボル的な建物です。おいそれとは立ち入れなかった往年の豪商の邸宅が公開され、地域の歴史と誇りを感じられる場所となっています。また若い世代にとっては大正期のモダンな建築を活かし様々な発信ができるクリエイションの拠点として魅力的な場所となっています。

今では少し寂れてしまっていますが、かつて商業で賑わった町並みには古き良き時代の商店街の面影が残っています。住民の気風にも都市的なセンスが感じられ、新しい試みやモノ・コトを一緒に楽しんでもらえるところは須崎の魅力だと感じます。

ギャラリーに足を運んでいただいているお客様の中には、須崎や近隣市町村に移住して創作や地域おこしの活動をしておられる方もいらっしゃいます。私自身も移住者のひとりです。まち歩きやわら馬作りなど、移住したばかりの人が須崎の魅力を知るのにはもってこいのプログラムを実施していますし、地域住民が主体のイベントも多く開催されます。参加すれば楽しい仲間と出会えるかもしれませんので、ぜひ一度立ち寄ってみてください。
 
※この記事は、2023年3月7日時点の情報を掲載しております。

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