山形県の伝統野菜 実は日本一?!そのワケは… |地域のトピックス|FURUSATO

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山形県の伝統野菜 実は日本一?!そのワケは…

山形県の伝統野菜 実は日本一?!そのワケは… | 地域のトピックス

こんにちは、山形出身・移住コンシェルジュの多田です。

先日、某TV番組で「日本で一番在来作物が残っている県は、山形県です」と紹介されていいたので! (知らなかった…) 
さっそく、山形県の在来作物について調べてみることにしました。

そもそも、在来作物・伝統野菜って何?

農林水産省のホームページでは、伝統野菜を「その土地で古くから作られてきたもので、 採種を繰り返していく中で、その土地の気候風土にあった野菜として確立されてきたもの」と説明されていますが、明確な定義はなく、品種によっては江戸時代から、100年前から、戦前から、と様々な時代から受け継がれてきたものがあるようです。

 

山形県は推定160品目?

全国の在来作物の種類は2,000~3,000とも言われていますが、まとめられたデータは少なく、「農業生物資源ジーンバンク」では全国の291品種が公開されています。

山形県内ではと言うと、一説には160を超える品目があるとは言われていますが、現在県の農業サイト「アグリネット」で公表されている山形県の伝統野菜の品種は、87品目(令和6年3月時点)。
山形県全域で作られているものもありますが、ほとんどの品種が各地域の中でのみ、大切に作られ続けてきているものです。

※引用:やまがたアグリネット「食の至宝 雪国やまがた伝統野菜」一覧

<広域> うるい (県全域)
おかひじき (村山・置賜)
えごま (村山・最上)
からとり芋 (最上・庄内)
村山地域 山形赤根ほうれんそう
山形青菜(やまがたせいさい)
もってのほか
蔵王かぼちゃ
悪戸(あくど)いも
掘込(ほりごめ)せり
三河(みかわ)ぶき
金谷(かなや)ごぼう
小笹(おざさ)うるい
ねまがりたけ
南沢(みなみさわ)かぶ
来迎寺(らいごうじ)そば
子姫芋
牛房野(ごぼうの)かぶ
次年子かぶ
次年子かぼちゃ
最上地域 神代豆(じんだいまめ)
角川かぶ
最上赤にんにく
甚五右ヱ門芋(じんごえもんいも)
勘次郎胡瓜(かんじろうきゅうり)
畑(はた)なす
最上いまめ
くるみ豆(舟形)
くるみ豆(新庄)
金持ち豆
久五郎豆(きゅうごろうまめ)
青端豆(あおばたまめ)
青ばこ豆
青黒(あおぐろ)
雁喰(がんぐ)い
黒五葉(くろごよう)
最上かぶ(長・丸)
長尾(ながお)かぶ
漆野(うるしの)いんげん
肘折(赤頭)だいこん
肘折かぶ
弥四郎(やしろう)ささぎ
雪割菜(ゆきわりな)
とっくりかぶ
畑(はた)いものこ
米(よね)さずべ芋
西又(にしまた)かぶ
ひろっこ
石名坂(いしなざか)かぶ
今朝治郎胡瓜(けさじろうきゅうり)
ようのこ豆
吉田かぶ
庄内地域 だだちゃ豆
温海かぶ
あさつき
平田赤ねぎ
野良(のら)だいこん
酒田きゅうり(鵜渡川原きゅうり)
外内島(とのじま)きゅうり
早田(わさだ)うり
藤沢(ふじさわ)かぶ
小真木(こまぎ)だいこん
かつを菜(な)
紫折菜(むらさきおりな)
田川かぶ
宝谷(ほうや)かぶ
萬吉(まんきち)なす
大滝(おおたき)にんじん
與治兵衛(よじべえ)きゅうり
置賜地域 薄皮丸なす、紅大豆(べにだいず)
小野川豆もやし
雪菜(ゆきな)
うこぎ
窪田(くぼた)なす
遠山(とおやま)かぶ
高豆蒄(こうずく)うり
夏刈(なつがり)ふき
小野川あさつき
おかめささぎ
馬のかみしめ
花作大根(はなづくりだいこん)
畔藤(くろふじ)きゅうり
宇津沢(うつさわ)かぼちゃ
八ツ房(やつふさ)なす
梓山大根(ずさやまだいこん)
つくも高菜

 

伝統野菜と山形の文化

■2011年制作 山形の伝統野菜・在来作物を撮った映画「よみがえりのレシピ」

2011年に制作された映画「よみがえりのレシピ」では、山形県内の在来作物を作り続ける農家の方々の想いや技術、そしてその在来作物を使って新たな料理を生み出していくシェフをインタビューされています。監督の渡辺智史さんは鶴岡市出身。
この映画によって、伝統野菜・在来作物という言葉が世に広く知られることにもなり、多くの人が関心を向けるきっかけになりました。

 

■ユネスコ食文化創造都市に認定された鶴岡市

2014年12月、日本で初めて鶴岡市がユネスコ食文化創造都市に認定されました。

鶴岡市は約60種の在来作物があると言われており、山岳信仰の象徴でもある、1400年受け継がれる出羽三山にまつわる精進料理や、500年の歴史がある黒川能の食文化なども含め、認定に繋がったと言われています。

また、鶴岡市を代表するシェフ奥田政行氏による、在来作物を使ったレストランの展開や、様々なレストランの監修を手掛けるなどの活躍も大きく影響していると言われているそうです。
現在(2024年)でも日本で認定を受けているのは大分県白臼市と2市のみ。世界で49都市が参加するユネスコ食文化創造都市ネットワークに加盟できたことは素晴らしい事ですね。

 

ほかにも、

■真室川町には伝統野菜を使ったおはぎ屋さんができたり、川西町では、町のPRに伝承野菜「紅大豆」を活用するなど、伝統野菜は様々な形で地域と繋がりを持っています。

 

■飲食店でも愛される伝統野菜

山形県内の様々な飲食店でも、伝統野菜を守るべく、様々な料理に使われています。
日常的に食する人がいる事が、生産者を支えその種が守られていく事に繋がっているのかもしれません。

 

 

山形に伝統野菜・在来作物が多い理由を考えてみる…

ここからは、私の個人的な考察ですが…山形県に伝統野菜・在来作物が多く残っている理由を考えてみました。

 

■古くからあるものを大事にする?老舗率は京都とほぼ同レベル

老舗産業を調べたところ、山形県「老舗企業」分析調査(2024年)では、100老舗企業の割合を指す「老舗出現率」は5.34%で全国平均の2.75%を大きく上回ったとのこと。全国の都道府県別で比較すると、なんと老舗企業の出現率は京都府が5.35%でトップとなり、山形県(5.34%)、新潟県(5.02%)と続きます。

歴史の深い京都に続いて老舗率が高いなんて、ちょっと誇り高いのは私だけでしょうか。

ちなみに、山形県の老舗企業の業種別では旅館業が最も多く、次いで清酒製造業、菓子小売業と続くそうで、老舗企業のほとんどが食にまつわる企業であることは、伝統野菜が守られてきた事と、関わりがあるような気もしますね。

 

■三世代同居率が長年1位

国勢調査によると、全国の都道府県別三世代同居率は、山形県は平成2年からずっと全国1位
三世代同居率が高い山形県では、自然と上の世代と下の世代が一緒に食事作り、食卓を囲む機会が多くなることで、伝統料理、伝統野菜に触れ、受け継ぐ機会も多くなるのかもしれません。

かくいう筆者も、三世代同居で育ちましたが、祖母が良く作ってくれた料理の数々、例えばおみ漬け(青菜)、菊の花(もってのほか)、赤かぶの甘酢漬け(温海かぶ)を幼少のころから、日常的に食べていたので、むしろ日常的すぎてそれが在来作物だと知ったのは最近のこと…伝統野菜・在来作物って、個性があって、味が濃くて、そのままの素材が本当に美味しいんです。

古き良きを守る山形県。
山形県に住んだらぜひ、山形の地で大切に守られたきた、山形の伝統野菜を味わってみてください。