レッツスピーク山形弁! 謙虚すぎて伝わらない[自虐フレーズ 解説編] ~すれ違う山形県民と移住者~
こんにちは、移住コンシェルジュの多田です。
映画「おしん」でも有名な山形県。
冬は雪に閉ざされるため、住民同士が助け合い、コミュニティでみんなが仲良く暮らせるように、謙虚で控えめな人が多く、また寒い気候から言葉をあまり多く話さない県民性が特徴です。
ところが、この謙虚さと口下手さに拍車がかかりすぎると、本当の意味が伝わらず、移住者・他県の人から誤解をされることがあるようです。
山形県に移住した方から、ある日こんなご相談を受けました。
「山形県に移住したら、山形の人に、なんでこんな何もない所に来たの?もっと他に良い所あるんじゃないの?って言われたんです。私、拒絶されているんでしょうか?」
「山形の人に篭いっぱいのリンゴを貰ったんですけど、少しばかりで悪いわね、って言うんです。量の感覚の違いにびっくりしました。」
実はこの会話、どちらも大きな誤解を含んでいますが、皆さんは分かりましたか?
山形に移住される方が思わぬところで誤解をしないよう、山形県民のちょっと謙虚さが行きすぎた、言葉足らずな、自虐フレーズについて、本当の解釈を説明したいと思います。
※今回はフレーズを理解しやすくするために、山形弁は最小限にしています。
※全て実際にあった例をもとにしています。
状況その①: 他県から山形県に引っ越してきた人「山形が好きで、移住しました!」に対して
山形県民自虐フレーズ
「なんでこんな何もない所に引っ越してきたのや?ここよりずっといい所いっぱいあるべ!」
×他県民のよくある誤解釈
「こんな所に引っ越してくるなんて、あなたどうかしているわ。他の場所に移った方がいいんじゃない!」
↓
〇山形県民の本音・正解釈
「よくここに来てくれたね!でも、ここにずっと住んでいると他県の方が魅力的に感じてしまうんだけど、全国に魅力的な県がたくさんある中で、どういう理由で山形を選んでくれたのか、その理由に興味があるからぜひ教えてよ!」
解説:
基本的に、山形県民は愛県心こそ強いものの、”全国から見ても魅力的なポイントがある”とは思っていない、魅力的だと言われても信じられない、という人がほとんど。(筆者推計90%以上)
東京や沖縄、長野…全国には山形より魅力的な県ばかりだ、と思っているところに、「他県から移住しました」という人に遭遇すると、驚きと興味があまり、まるで謎多き宇宙人と遭遇したかのように質問攻めにしてしまう事があるのです。
基本的には、「来てくれて嬉しい!」「でもびっくり!」「ここに来てくれた理由が知りたい!」という気持ちがはしゃいでいることがほとんどで、「追い出したい」という他意がある訳ではないので、「私に興味を持ってくれているのね」という気持ちで、温泉が好き、食べ物が好き、人が好き、など素直に山形の好きなポイントを話してみましょう。
他県の人から褒められて、山形県民は初めて山形の魅力に気が付いていくのです。
状況その②: 畑で取れた美味しそうな野菜を持ってきてくれた時
山形県民自虐フレーズ
「こんなつまらない物だけど、良かったら食べてけろな。」
×他県民のよくある誤解釈
「つまらない物だから、あなたにあげるわ。」
↓
〇山形県民の本音・正解釈
「作った野菜がすごく美味しくできたから、食べて喜んでもらいたくて一番いいものをもってきたのよ。ぜひ召し上がって。」
解説:
基本的に、誰かに贈り物を渡すときは、「人様にあげるものは、恥ずかしくない物を渡さないといけない」という精神で、一番見栄えが良い物、質が良い物をあげる文化があります。
ところが、その選りすぐりの一品を「選りすぐりのものですよ!」と言わないのが山形県民。
”他にもっと優れたものが世の中にはあるかもしれませんが”という謙虚さを最上級に表し、「つまらない物ですが…(実際は一級品)」「少しばかりですが…(実際は大量)」などと表現します。
こんな時は、「つまらない物なんですか?」などと言葉を真に受けず、「こんな素敵な物頂けて嬉しいです!ありがとうございます!」と素直に喜びを表現しましょう。
状況その③: 民宿でテーブルを埋め尽くすほどの郷土料理を振舞った時
山形県民自虐フレーズ
「何もない所だげんど、私たちがいつも食べている料理をお出ししました。お口にあうか分かりませんが召し上がってください。」
×他県民のよくある誤解釈
「何もないので冷蔵庫の残り物で作りました。美味しいか分かりませんが食べてください。」
↓
〇山形県民の本音・正解釈
「豪華な食材ではないかもしれませんが、この地域で親しまれて食べてきた郷土料理を丁寧に作りました。都会の方の舌にあうか分かりませんが、私たちにとって一番美味しいものをお出ししたつもりです。気に入って頂けたら嬉しいです。どうぞ召し上がってください。」
解説:
山形県では贈り物の時と一緒で、客人にごちそうを振舞う時も、その季節の一番美味しい食材・郷里料理を食べきれないほど振舞う、という文化があります。
ところが(都会で貴重がられる高級食材ではないが=何もない所ですが)(古くからこの地域で受け継がれてきた郷土料理=いつも食べている料理ですが)(気に入ってもらえたら嬉しい=お口に合うか分かりませんが)と謙虚に表現すると、その真意が伝わらない事態になるようです。
郷土料理は手間暇かけて作られる事が多いので、真相が分からない時は、どうやって作るんですか?なんていう食材ですか?と積極的に質問してみてください。説明を聞けば、そこに注がれた時間と想いの大きさが垣間見えてくると思います。そして気に入ったら「美味しい!」と感想をぜひ伝えてみてくださいね。
今回はほんの一例を紹介しましたが、近所や学校、ママ友、同僚など、人間関係が広がれば、様々な状況で「アレ?これはどういう意味??」と会話の意味が分からない時もでてくるかもしれません。
信頼できる人が近くにいれば、その真意を聞いてみていただくもよし。聞く相手が見つからない時は、もやもやを抱え込まず、東京・山形の移住窓口のスタッフまで気軽にお尋ねくださいね!
やまがた暮らししごとサポートセンター(東京窓口)/ふるさと山形移住定住推進センター(山形窓口)
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