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移住者の紹介ーサバイバル精神で地方の未来を拓く@舞鶴市

移住者の紹介ーサバイバル精神で地方の未来を拓く@舞鶴市 | 地域のトピックス

山下恭平さん
1989年、舞鶴市生まれ。静岡県立大学を卒業後、東京で音楽活動をした後にギターと歌の投げ銭のみでロシア〜ポルトガルまでユーラシア大陸を陸路で旅する。舞鶴にUターン後は、営業職を経験後、志摩機械株式会社の社員として数多の地域密着型ビジネスを展開する他、古民家カフェ二王の栖(におうのすみか)・古民家ホテル二王の宿を運営。ネオ百姓、ギタリスト、自然体験活動指導者、キャンプインストラクター、丹後・丹波虫の会会員。様々な肩書きを持つ山下さんの素顔に迫りました。

世界へ想いを馳せる学生時代

 幼少期の頃の思い出を「ブラジル移民だった祖父の影響で、よく家に外国人の友人や知り合いがいました。そして、自然の中で虫捕りをするのが大好きな子どもでした。」と話す山下さん。単身15歳でブラジルを訪れ、好きだった昆虫採集や自身のルーツを探す旅をします。

 この旅で日本とのスケールの違いに圧倒され、もっと世界を知りたいと、大学では国際政治・経済・文化を専攻。しかし世界を知るにあたり、あまりにも「日本」について知らないことが多いと痛感。時代の変遷の中で受け継がれた日本のアイデンティティや哲学、文化について学びました。

 それらを突き詰めていく中で、人の営みの原点である狩猟採集や農耕の知恵など、再度自然と人が密接に交わる生活を自分の足元からはじめたいという思いが湧いてきます。

生き方を見つめ直すきっかけ

 2011年3月11日、自然との共生や原点回帰についてさらに深く考えさせられる出来事が起こります。東京で生活していた山下さんは、東日本大震災の影響により交通などのインフラが使えなくなった都会の脆弱性を目の当たりに。「実は伝統的な地に足の着いた田舎暮らしこそ、どんな環境でも人生を楽しく生き抜く力が身に付くのではないか。たとえばガスや電気が止まったとしても、人力や自然の力、昔ながらの知恵や技術があれば対応でき、精神衛生上も不便な環境から受けるストレスが軽減される。楽さや便利でこそないかもしれないが、自分から能動的に考え動き工夫することで、無限の楽しみを見い出せるかもしれない。都会の真ん中で生活しながら、そんなことを感じていました。」

 そして、自然と共に生活をする様々な分野の人とつながっていき、「共存共栄の社会」を築くための活動はなにかと模索しはじめます。

ギター1本を手に、ユーラシア大陸横断の旅へ

 その後山下さんは、ユーラシア大陸を陸路で横断する旅に出発。路上でギター演奏と歌を披露し、バスキング、いわゆる投げ銭で旅の資金を稼ぎながら、シベリアからポルトガルまで10ヵ国を巡ります。

 キャッシュレスが進むヨーロッパの国々で投げ銭を受け、「人は人に生かされている事を実感した」と話します。「他のパフォーマーと差別化し、客層を絞り、どこでどんな表現をしたらウケるのか、その土地の人と交流して意見を聞き、日々実験しながら稼ぎを増やしていきました。他にも、絵を描いたりお客さんの名前を漢字で書いてお金を得ていました。」

 2017旅を終えた山下さんは、様々な経験と思い出を胸に故郷の舞鶴に生活拠点を移します。

Uターン後、様々な地域密着型ビジネスを展開

 舞鶴に戻ってからは、学生時代から考えていた「自然と人が密接に交わる生活」「自然の中で豊かに暮らす」ことについて改めて考え、行動に移していきます。

 田植え〜餅作りまでを一貫して担う農業体験の運営やホタル鑑賞ガイド、ビオトープ生き物観察会、トレッキングやE-BIKEガイド、自然体験や焚き火体験など、地元に根差した様々な活動を実施。京都府北部7市町の事業者と連携を取りつつ、日々休み無く地域密着型ビジネスを広く展開する、自称「何でも屋」に。現在は、志摩機械株式会社の綾部市の奥上林地域での活性化事業を軸に、「くう・ねる・あそぶ」に関わる様々なシーンをプロデュースしています。

古民家カフェが地域の憩いの場に

 二王の栖(におうのすみか)は、2022年3月、綾部市奥上林に地域の交流場としてOPENした古民家カフェ。こちらでは、耕作放棄地を利用して作られたお米、無農薬野菜や果物、地元産の鶏や魚を使ったメニューを提供していて、生産者の顔が見える食材を味わうことができます。

 また、定期的にカフェ主催の行事やツアーを開催し、幅広い世代の方が楽しめる地域の憩いの場となっています。

 2024年3月には、カフェからすぐの所に一棟貸し古民家ホテルがオープン予定。のどかな田園風景や花々など、四季折々の風景が楽しめる自然に溶け込んだロケーションが魅力。「ヨーロッパ横断の途中、出会った多くの人が私を家に泊めてくれました。だから今度は自分が世界の人をもてなしたい。」

 宿泊予定のお客様は、インバウンド旅行客、宿のある街道沿いをツーリングするバイカー、都市部から癒しを求めてくる家族連れなど様々。プレオープン時に宿泊した外国人のお客様の中には、やっと日本らしい風景に出会えたと感激される方もいたそう。

カフェ部分は多目的スペースとしても開放し貸出。世代問わず地域の多くの方が利用している。


宿泊施設はリノベーションした3棟の古民家を一棟貸し。

逆転の発想で地方の良さをみつける

 地元に戻り、持ち前の行動力で地域に根差した活動を続ける山下さん。地元舞鶴に移住するメリットをこのように語ります。

「職業の選択肢や給料、娯楽の少なさにより、田舎から都市部へ流れる人は多いですが、地方にいると都会では味わえない感覚があります。日々季節は移ろい、同じような毎日でも実は少しずつ違う。だから毎日やる事も見るものにも小さな発見がある。自然の中で生活することは、同じものは何一つないということを気づかせてくれ、日常を彩り豊かなものにしてくれます。

 田舎には仕事がない、というイメージがありますが、果たしてそうか?裏を返せば、そこにはむしろ可能性しかないと私は感じています。インターネットやSNSは地方にいながら今や全世界と繋がれますし、都会に比べ人が少ないということはそれだけ人そのものに価値が置かれます。耕作放棄地を利用した農業然り、空き家問題や高齢化が進む集落の手がまわらない草刈りや稲刈り、買い物へ行く交通手段、医療施設不足など…、山積みの地域課題と向き合うことは、社会を、自分たち自身のあり方を一から考え直すことでもあり、そこに言い訳をせず探究し、挑戦していくだけのやりがいがあります。

 都会ではお金が無ければ楽しめる事も少ないですが、自然が多い田舎では工夫次第でどれだけでも楽しむことができます。子育てに関しても、あくまで正解はありませんが、これから不確かな時代を生き抜くために子どもたちに求められる能力は、都市生活、人間社会の中だけでは育むことができないと感じています。時代が求める自由な発想やクリエイティビティは自然を相手にする中で芽生え、やがて花開いていくと私は考えています。」

地域の人々とのつながり、そして自然の恵みをすぐそばで感じながら生活できることは、何物にも代えがたいとても贅沢なことなのかもしれません。

【古民家カフェ 二王の栖】
【古民家ホテル 二王の宿】
住所:京都府綾部市睦寄町市場下8-2
カフェ営業時間:10:00~17時00分(冬季期間中11月~2月は~16時00分)
定休日:不定休(Instagramにてお知らせ)
HP(外部リンク)
インスタグラム
山下さんが案内人を務める「ビオトープ生き物観察会」は3月〜11月の毎月最終日曜日開催。

舞鶴ふるるファーム
https://fururufarm.com
住所:京都府舞鶴市字瀬崎60番地Tel:0773-68-0233

※このページは、co-kyoto(京都府北部にある福知山市や舞鶴市、綾部市の地域情報をお届けするサイト)の転載記事です。
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