忘れられた酒どころ?《その2》【独断と偏見の食文化レポート③】
お酒の話。その弐
お酒の話、待望?の第2弾!! 前回は
・酒の歴史
・清酒って?
という内容でお送りしたので、今回はその続き
・酒米って何が違う?どんなもの?
・ぶっちゃけうまいの?
をお届けします。
今回も多少の粗はご勘弁ください。独断と偏見ですので…。
★杜氏(とじ/とうじ)ってなに?
現在では大きな酒造会社さんを中心に一年中お酒が造られています。でも、昔から酒造りはお米の収穫後から春までの農(漁)閑期、つまり冬に作られていて、現在もその伝統は続いています。お酒は発酵食品ですので、腐敗を避けるためにも寒い方が都合がよかったわけですし、第一次産業の担い手の冬場の季節労働、いわゆる「出稼ぎ」という形で支えられてきた仕事でもありました。
そういった背景から、一つの酒蔵(さかぐら)に同じ地域の人が集団で酒造り職人として出向き、それをまとめるトップがいる、そしてそのトップがその酒蔵で造る酒工程管理から味まで責任を引き受ける、という文化ができることになります。その職人を「蔵人(くらびと)」、トップを「杜氏(とうじ)」と言います。
全国各地にこういった職人集団があったわけですが、その中でも著名な杜氏集団がありました。そのいくつかを三大杜氏と呼ぶことがあり『南部杜氏』(岩手県)、『越後杜氏』(新潟県)、『丹波杜氏』(兵庫県)の3つが挙げられます。『丹波杜氏』は前回お話しした「灘の酒」を支えていることで知られています。また、兵庫県にはもう一つ著名な杜氏『但馬杜氏』もあるんです!
※読み方は「たんばとうじ」と「たじまとうじ」ですよ!
★酒米
いまさらですが、お酒は「米」から作られます。でも、皆さんが普段食べるコメとは全く別の「酒米(酒造好適米)」というお米が使われます。特徴は「粒が大きい」、「心白という中心部が大きい」「たんぱく質や脂質が少ない」などなど。
ちなみに酒米は栽培が難しいと言われています。まず、
・粒が大きいと言いましたが、つまりはお米が実ると重くなります。しかも…
・酒米は稲穂の丈が長く、飯米(普通のコメ)が平均80-100cmなのに対し、山田錦は130cm位と約30cmも長いんです。
・丈が長くてコメが重いと…穂が垂れます。垂れすぎると…倒れます(倒伏と言います)
穂が倒れると機械で刈り取れなかったり、おコメの品質が落ち、ダメになってしまうことがあります。
また、大きくて「でんぷん質」が多いため、肥料や水の調整も難しいと言われています。
★山田錦
酒米の代表的な品種はコシヒカリ…ではなく、『山田錦』 『五百万石』 『美山錦』が生産量トップ3
約120品種とも言われる酒米ですが、この3つで全体の約70%を占めているそうです。
その中でも山田錦の存在感は強く、2022年農水省推計では
👑1位 山田錦 約28,000t
2位 五百万石 約15,300t
3位 美山錦 約3,700t
上位3つでもだいぶ差があるようで…山田錦が圧倒的。
そして…この『山田錦』の約60%が兵庫県産です(ビックリ!!)
ちなみに写真は三木市吉川(よかわ)地区で造られた山田錦が出荷される酒蔵の樽が並んだものです。
この地域は非常に山田錦の生産が盛んで、地区ごとに出荷される酒蔵が決まっているそうです。(村米というらしい)
もうこれは文化といわずしてなんという…というレベルです。そしてワインの「テロワール」にも通じるものがあります。
兵庫県産山田錦 | 酒米 ←正しく詳しい解説はこちら
酒蔵紹介 | 兵庫県産山田錦 ←兵庫県産の山田錦を醸している蔵は全国に。(詳しい方はこれ見るだけで楽しいかも)
ちなみに酒造好適米全体でも兵庫県産は約30%のシェアがあります。(山田錦以外ももちろん作っています、ちなみに、兵庫県内の主力酒米は山田錦含めて4品種。栽培品種は全国最多の22品種→醸す造る播磨より)
これは全国で日本酒が作られ、米作も盛んな中で、えらいでかい数字だと思うのです。
★ぶっちゃけうまいの?
ひとり乗り突っ込み的なセルフ無茶ぶりをしちゃいました…
杜氏の話とはちょっと矛盾するかもしれませんが、現代は大きな設備や近代的な酒造りが進み、大手などを中心に一年中お酒が造られています(四季醸造)。一方で伝統的な酒造り(寒造りなど)も健在で、酒といえばこちらを思い浮かべる人も多いと思います。
伝統製法の小さな蔵のお酒は個性やプレミアム感あってが良いような気もしますが、大きな蔵も安定したおいしさ+多様な品ぞろえを持ち、それを比較的リーズナブルに提供してくれる存在でもあります。
そして、兵庫の酒はどっちもあります。そして何より文化とストーリーがあります。
あなたが好きな酒、あります!
ちなみに文化とストーリーといえば…
GI(地理的表示)が「灘五郷」「はりま」と「伊丹」の3か所もあるとか、
但馬の新温泉町で全国新種鑑会10年連続金賞受賞者と現代の名工がタッグを組んだ新しい酒蔵が生まれたとか、
中部地方の酒造会社がワインのテロワールの思想のような方向で播磨北部の西脇市で山田錦をつくって酒造りしているとか…
話題には事欠きません。
そんな兵庫県にちょっと興味がある方は2/16(日)東京有楽町へ!
◆◆兵庫五国移住・交流フェアin東京【東京・有楽町開催】 |FURUSATO◆◆
兵庫県の自治体、団体が多数出展!1階ではマルシェも開催です。
◆2/27(木)のオンラインイベントはお酒もテーマ
冬のひょうご暮らし~お酒と温泉とうまいもん~ |FURUSATO
◆兵庫県が気になった方はコチラ↓↓(移住や仕事、地域情報が満載)
兵庫県移住メディアサイト 兵庫で暮らせば…
◆お酒や食文化に興味が湧いた方はコチラ↓
兵庫の酒 兵庫酒造組合連合会
日本酒 – 日本酒造組合中央会
◆その他の兵庫県の食文化については(今までの記事いらんやんとは言わないで。)
兵庫県 | うちの郷土料理:農林水産省
御食国(みけつくに)ひょうご