Uターンのあと・移住の現場から見たグンマ
「移住促進のお仕事、やってみていかがでしたか?」
「楽しかったなぁ~,,,。」
2021年3月末。相談員とオンラインでつながった液晶画面上で、コロナ禍の1年間を振り返るようにしみじみと一言。
冒頭つぶやいたのは、群馬県の移住促進業務に1年間 奮闘された、渋川市出身・猪熊さんです。
~TOP画像は爽やかな笑顔!県庁32階NETSUGEN?「官民共創スペース」から~
<どんな人?>猪熊さんは大学進学のタイミングで上京。大手家電メーカーへ就職し社会人経験をしたのち東京→群馬へUターン。公務員試験を経て渋川市役所へ入職。R2年度は群馬県庁へ1年間 出向※という形で移住に関わる部署へ。
県として初めての事業オンライン移住相談窓口の設計や、情報発信のクリエイティブ担当(相談員が勝手に命名!)として、様々な業務で県内を駆け巡られました。
Uターンなさった猪熊さんですが、元々は群馬へ戻る気は全くなかったそう。「田舎育ちだから、東京に憧れてて。文化面での興味もあったし、漠然とデザイン関係の仕事をやりたいと思っていました。中学生位の時だったかなぁ、もう群馬は出たくて仕方なかったですね。」
このトピックでは、そんな県職員として地元で働いた猪熊さんのお仕事から
〇群馬県って移住に関してどんなことやってるの?
〇猪熊さんご担当!「ぐんま暮らしオンライン移住セミナー」
〇東京→群馬 Uターン組として、暮らしを伝える1年間はどうだったか。
上記について伺いました。
群馬県出身者で「戻ろうか迷っている」「いつか戻りたいなぁ」という方へ、見ていただけたら嬉しいです。
ぐんまって、移住に関して何やってるの?
県外の方からはパッと「群馬=〇〇〇!」とイメージが出てこない(草津温泉は滋賀県では無い…)事が影響しているのかエビデンスはありませんが、地方移住を検討している方の選択肢として取り上げていただけるよう、群馬県としては主に
?群馬の魅力・情報発信 ?県内地域の受け皿つくり ?移住前・後まで(仕事・住まい・サポート)
この3点について、県内35市町村と県外拠点にて取り組んでいます。
?に関しては、2015年4月に東京・有楽町の移住相談窓口が設置され、銀座「ぐんまちゃん家」とも連携しながら群馬の魅力を発信。頻繁に移住・就職セミナーを開き、現地の暮らしをよりリアルに考えていただける場を設けています。
??については、ザックリ言えば「移住は目的ではなく手段。」群馬へ来ていただくだけではなく、その先の“ぐんま暮らし”をスムーズに送れるように、地域の方々と連携しながら移住者を受入れる体制を整えつつあります。
2021年8月現在では、県内11の地域で移住コンシェルジュ・移住コーディネーター・サポーターという、民間の方々による“横のつながり”を持った方々が活動しています。(メンバーはコチラから)
↑県内各地の移住サポーター同士で、研修会や情報交換を実施。「オールぐんま」で移住者をサポートすべく日夜活動中!メンバーの多くはご自身が移住経験者。経験に即した、リアルな移住の良し悪しの話や、地域の現状を知る方々からの相談対応は定評があります。
…群馬県は、情報発信の場の拡充・移住相談体制の利便性を高めるべく、R2年度からは「オンライン化」へも踏み切りました。
移住・就職相談はオンライン窓口を開設。また県外移動が困難な状況下であったり、ご自宅からでもセミナー参加が可能なオンラインセミナーを開催しています。
次にご紹介するのは、そんな「オンライン化」の波に乗り、猪熊さんがイチから企画・制作もされた移住後の暮らしについて気軽に知ることができるオンラインセミナーです。
放映一覧★「ぐんま暮らしオンライン移住セミナー」
こちらは、R2年度に移住スカウトサービスSMOUT(スマウト)と共同で開催。
移住にまつわる5つのテーマに沿った内容は、アーカイブ配信されいつでも視聴可能です。
テーマ<古民家改修・DIY><農業><林業><テレワーク><教育移住>
“移住者が求めている情報発信”とするべく、SMOUTからの提案も取り入れ、収録型ではなくゲストと共に県職員としてライブ出演をすることになった猪熊さん。
“暮らし”に密着した内容を届けるべく、ゲストの方々やSMOUTと作った「ぐんま暮らしオンラインセミナー」は、テーマ別に下記よりご覧ください!
(動画はそれぞれ外部視聴サイトへリンク)
?画像クリック:本編再生へ ?ゲストの事がもっと分かる!密着インタビュー
2020.10/24 [vol.1] 19:00-20:30 ――――――――――
?~古民家改修のリアルと地方移住~
〇地域の人〇
村上 久美子 さん
(中之条町移住・定住コーディネーター)
?インタビュー動画
佐鳥 拓 さん
(先輩移住者)
?インタビュー動画
〇行政の人〇中之条町 移住促進業務 担当者
≫こんな方にオススメ
「古民家に住んでみたい」「実際にどうやってDIYしてるの?」
「地元に帰ろうか迷ってる…」「群馬が気になる、移住コーディネーターって何?」etc…
2021.2/16?[vol.2] 19:00-20:30 ――――――――――
~自分らしく働ける仕事・農業~
〇先輩移住者〇
・吉川 和孝・博子さん(昭和村・農業6次産業)
?インタビュー動画
・矢澤 宏太さん(明和町・果樹[梨]専業)
?インタビュー動画
〇行政の人〇群馬県 農業振興業務 担当者
≫こんな方にオススメ
「農業に挑戦したい!」「農業やったこと無いけど、新規就農できるかな。」
「群馬の農業ってどうなの?」「こんな作物は群馬でできるの?」etc…
2021.2/24?[vol.3] 19:00-20:30 ――――――――――
~森の未来を創る仕事・林業~
〇先輩移住者〇
・藤野 由貴男 さん
(長野原町・林業専業)
?インタビュー動画
・北山 郁人 さん(みなかみ町移住コンシェルジュ・自伐型林業)
?インタビュー動画
〇行政の人〇群馬県 林業振興業務 担当者
≫こんな方にオススメ
「山が好きだ。」「地方暮らしをして林業に挑戦したい!」
「林業ってどんな仕事をするの?」etc…
2021.3/16?[vol.4] 19:00-20:30 ――――――――――
~ぐんまでテレワーク~
〇テレワークに関わる行政の人〇
・太田市 テレワーク施設「ミライス」
・みなかみ町テレワーク施設「猿ヶ京サテライトオフィス」
≫こんな方へおススメ
「群馬でテレワークできる施設を探している」「ゆとりある地方で生活したい!」
「都内通勤は可能か」「群馬のテレワーク施設ってあるの?どんなの?」etc…
2021.3/24?[vol.5] 19:00-20:30 ――――――――――
~地域ぐるみで育てる教育~
〇先輩移住者〇
・佐藤 祐太 さん(南牧村・地域おこし協力隊)
・鰐淵 元貴 さん(南牧村・地域おこし協力隊)
〇行政の人〇南牧村?教育委員会 担当者
≫こんな方へおススメ
「こどもの進学をきっかけに移住したい」「山村部で新しい生活を始めたい」
「・・・でも気にはなるけど群馬の教育環境って実際どうなの?」etc…
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じつは猪熊さんは出演だけでなく、イメージ画像の製作・現地インタビューの動画編集もされていたとのこと!「まさか学生時代に学んだデザインスキル、編集技術が業務内で活かされるとは。」
またゲストへ出演依頼~現地へ撮りにも出向かれるなど全面的に関与。出演候補者は、先輩移住者とはいえそれぞれ群馬県で生活を送っている一般の方々。時には断られたり、お仕事の最中にカメラを回していたとのこと。行政職員として地域住民と関わる難しさを感じることもあったそうです。
“暮らし”を発信した1年。Uターン者から見えた“群馬”
地方公務員としてのキャリアを歩む中で、出向※のチャンスが巡ってきた猪熊さんは「経験値・業務の幅を広げるため」県庁派遣の募集へ手を挙げたそうです。その配属先が移住関係の部署であり、ご自身が経験した「Uターン」を勧める業務も担うことになりました。
どんな気持ちで業務に臨んでいたのか相談員は気になり、猪熊さんがUターンした経緯をお伺いしました。
※公務員の出向とは,,,研修&パイプを作る目的で、期間を決めて外の組織に出ること。国の省庁、県や市町村、または民間などに出向き、職員の成長を促し、戻ったあと様々な情報を得やすくなる・業務で外部での見聞を活かしていく。
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「高校を卒業して上京する時は、群馬には絶対帰らない!ぐらいの気持ちでした(笑)。東京でバリバリ働いてやるぞと。けれど就職活動は厳しくて、希望の職種に就けなくて。無事一般企業へ就職をしましたが、結構ハードワークだったんですよね。電車通勤している周りの人を見たら疲れた顔で。都内で生活してる時の楽しみは、車の運転。たまに休みがあると山や温泉、自然のある所へドライブに行っていました。」
思い描いた東京生活とのズレを感じつつ、群馬へ戻ろうかと考え始めたのは、お爺様が亡くなり実家である渋川市に帰省したタイミングだったそうです。
とはいえ、群馬に戻るとなったら仕事をどうするかが課題。
「(当時は)地方だと公務員か銀行くらいしか選択肢が無いなぁと思って。」
半ば消去法的に、群馬での仕事を地方公務員に求めた猪熊さん。地方公務員の採用試験に向けて受験勉強をし、晴れて社会人経験者の枠で合格。地元・渋川市へ戻られました。
運転が趣味と仰るくらいで、車社会・群馬にはすんなり馴染み、また地元の友人との交友関係もあった為、自然豊かなで出身地でのリスタートは充実の日々だったそうです。
「プライベートの変化でいえば、都内のように仕事帰りに飲みに行くっというのは減っちゃいました。行く時は事前に約束しておいて、前橋市まで出ていますね。」
仕事面では、地方公務員の宿命である「異動」により、幅広い業務に携わることに。
(通常 約3年おきに、所属する部署が自治体内で変更すること。)
県への出向前は、土木部署→観光部署をご担当。一般企業で考えると「転職」並みに異なる業務に携わるという、公務員独特な仕事の仕方によって年数を重ねていく中で、経験値を上げていかれました。
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いざ「移住」の部署に就き、県として「暮らし」という様々な側面が絡み合う業務を担当することになった猪熊さん。業務の多くはご自身の足と目により<県内で生活する人達から地域情報を得ながら、県外・首都圏へその魅力を発信する>と、改めて“地元”について知る過程があるものでした。
<内と外>2方面と向き合う中で見つけた「ぐんま暮らし」について、移住に関わりご自身に変化をお伺いしました。
「移住は様々な物事・人との関わりがありとっても幅広い業務。相談者からオンライン相談で「群馬を選んだ理由」など生の声を聞く一方で、地域の人たちから現地での活動をお聞きする機会は刺激的。(自分とは異なるバックグラウンドで生きてきて、異なる価値観で生活している方々との出会い!)自分自身はUターンをしたが、当時“移住”とは思っていなかったので「自分も移住者の一人」と知る機会をいただけて良かった。」
「相談が多かった農林業の分野は専門外であったし、地域の人達とのコミュニケーションも全てが初対面で、難しいと感じたところもあったが、普通の会社員とは違った、働く概念を持っていることが新鮮だった。」
「県外在住者から群馬で叶えたい事や、県内各地の先輩移住者との出会いが、今まで知らなかった群馬を知らしめてくれて、視野が広がった。群馬には“希望”がある、と感じた。」
ご自身がUターンする理由が100%ポジティブ、というわけではなかった猪熊さんから、ぐんまでの生活に“希望”を見出されているとの言葉に相談員は軽く感動。県内各地の移住の現場に関わったことで、Uターン前には考えられなかった「ぐんまでの多様な働き方」を現実的に捉えていらっしゃる様子でした。
最後に、ご自身と同じくUターンを迷っている方へメッセージをお願いしました。
「群馬へのUターンを迷っている方は、ぜひ戻って来て欲しい。(私自身も子供の頃に感じていたような)“群馬って何にもないな~”という所は、今は変わってきている。群馬で夢を叶えたい人を応援する体制や活動を知って、勇気に変えて欲しい。あきらめないで、地域の人と関わってみて生まれるチャンスもあります。知ってるようで知らない今の群馬について、移住の相談窓口も利用してみてください。」
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雑談好きな相談員…猪熊さんへ「移住を担当してみて、人生経験値が幅広くなったと思うんですが、将来やってみたい事や、夢ってありますか?」とお聞きしちゃいました。
「なんだろな~、そうだ藤岡市でゲストハウス「さんと宿」を経営されているサントスさんを訪ねた時に、家庭菜園もしているという話を聞いたんですね。「さんと宿」にはちょっとした畑がついていて、そこでは利用者が野菜を育てるという事もできるそうなんです。未経験の人でも簡単に始められるということを聞いて、自給自足の暮らしもいいな~なんて!考えたりもしました!」と、なんとも嬉しそうにお話してくださいました。
そんな猪熊さんの後日談,,,県庁出向を終え、2021年4月からは渋川市役所へ戻られました。
ご担当はなんと「移住」の係!渋川市への移住をお考えの方は、R3年度は相談窓口を猪熊さんがご対応してくださいます。コチラからオンライン相談もできますヨ!
~渋川市の支援策など~
?子育てのしやすさが自慢!「しぶかわ子育て応援なび」
?移住をして住宅を取得する方には,,,運転免許の取得、ペーパードライバー講習の補助(!)
詳しい要件は「渋川市移住者住宅支援事業助成金」(R3年度)