丑(うし)年の牛の話「但馬牛(たじまうし)」
前回の神戸ビーフのお話しの時に出てきた「但馬牛(たじまうし)」 今日はそのお話し。
ちょっとその前に…
この記事を書くにあたって、迷いながらも「但馬牛(たじまうし)」とずっとフリガナをつけてきました。但馬(たじま)とは旧国名で兵庫県の北部のこと。その但馬国なんですが、県外の方からは『たんば』と読まれてしまうことが多いんです。しかし、兵庫県には同じように旧国名で丹波国(たんばのくに=こちらは現在兵庫県と京都府に分かれています)がありますのでややこしい。
ということで、まずは但馬(たじま)を是非、覚えてくださいませ。ここからはフリガナなしで押したいと思います。
実は但馬牛は神戸ビーフのもとであるだけでなく、日本の黒毛和牛の「元祖」です。平成24年2月、社団法人全国和牛登録協会の調べで、全国の黒毛和牛の繁殖メス牛は、99.9%の比率で「田尻号」という一頭の但馬牛の種オス牛の子孫である…と証明されました。お母さん牛の99.9%が「田尻号」の子孫ということは、生まれてくるほとんどの日本の黒毛和牛は「田尻号」の子孫ということになります。出典:香美町小代観光協会HP
そして、その但馬牛は今も神戸牛だけでなく松阪牛など多くの他地域ブランド牛の素牛(但馬牛の子牛をそれぞれの地域でそれぞれの技術で育ててブランド牛になる)になることで知られています。
ちょっと説明を間違えるといけないので、ここからは地理的表示産品情報発信サイトの文章をお借りします。
「但馬牛(タジマギュウ)」「但馬ビーフ」「TAJIMA BEEF」は兵庫県で生産される優れた但馬牛(タジマウシ)を素牛として、最低月齢28カ月以上、平均32カ月程度かけて仕上げていく牛肉です。
牛肉の良し悪しはその素牛で決まると言われています。「但馬牛」「但馬ビーフ」「TAJIMA BEEF」の素牛である但馬牛(タジマウシ)は、長い歳月をかけ、多くの人々の努力により、改良に改良を重ねた結果、薄く弾力に富む皮膚と、羽毛のように柔らかい毛、引き締まった筋肉を持ち、肉の味の良さはもちろんのこと、骨が細く皮下脂肪が少ないため可食部が多く、まさに食用には最高の資質に恵まれた抜群の肉質を有する肉用牛として作り出されたものです。 (中略)
「但馬牛」「但馬ビーフ」「TAJIMA BEEF」の素牛である但馬牛(タジマウシ)は、兵庫県の県有種雄牛のみを歴代に亘り交配した牛です。
但馬牛(タジマウシ)は、約1200年も昔から兵庫県北部の但馬地方の山あいで、農耕用の役牛として、澄みきった空気、清らかな渓流、豊富な山野草など恵まれた自然環境に育まれてきましたが、明治期においてその遺伝子が肉牛としての良質な血統であることが認識されるようになり、それ以降長い歳月をかけ、良質な肉質を有する肉用牛として作り出されたものです。
その血統からは、性質温順で、身体つきも気立ても良い牛が代々生まれ、次第に但馬地方のみならず兵庫県内各地で飼育されるようになりました。
歴史を紐解きますと、奈良時代の正史である「続日本紀」の巻二九には、「但馬牛(タジマウシ)は農耕用だけでなく牛車にも最適である」と書かれています。また、延慶三年(1310年)に?直麿(ネイノナオマロ)が描いたとされる「国牛十図」という書物には、但馬牛が絵入りで紹介されています。小柄で引き締まった身体をもち、狭い棚田で農作業や荷物の運搬に小回りよく動けるために重用されていました。昼と夜の気温差が大きく、夜露が降りるこの地方で育つ柔らかい牧草と、またミネラル分豊富な水のおかげで、但馬牛特有の肉質が作られてきました。
出典:但馬牛|産品紹介|地理的表示産品情報発信サイト (maff.go.jp)
そんな但馬牛だからこそ、兵庫県にはこんな施設もあります。
兵庫県立但馬牧場公園ホームページ (tajimabokujyo.jp)
コロナ禍で飲食店や農産物の産地は大きな影響を受けているそうです。
もしよければこんな機会にちょっと贅沢なお肉はいかがですか?
次回は、その但馬牛、現在は意外?な場所で…